流れ込みがないため、天然湖のような不思議な景観をもつ標高400mの山上のため池。
じつは池底に断層が走っており、そこからこんこんと水が湧き出ているのです。堰堤を築くことでため池の機能を持たせ、山裾に広がる棚田を潤してきました。そこには日本の棚田百選にも選ばれた「山王寺の棚田」も。
出雲も近い神話のメッカでもあることから、不思議な話にも事欠かず、明治のころ、霊験あらたかな大蛇がいるという噂が広がってお参りに来る人が増え、農作業の邪魔だと困った耕作者たちが警官立ち会いのもと、池の水抜きをしました。今でいうならロクマルの噂がたってバサーが大挙したといった構図でしょうか。しかし外来魚駆除ならともかく、神様駆除とは何とも恐ろしいことですが、水抜きの際にすさまじい豪雨になり、けっきょく大蛇の姿は現れなかったようです。
現在、池には釣り禁止看板があり、高額罰金という恐ろしい言葉が記されています。
近くにある山王寺の棚田。