かつてはウナギ捕りも盛んだった。
埼玉県でももっともため池密度の濃い滑川町には192のため池がひしめく。古いものではなんと古墳時代に築造されたと考えられるものもあるとのことで、ため池は土地の生活と深く関わりながら歴史を刻んできた。
宮入沼周辺は谷戸タイプのため池が集積しており、構造的にはほとんどが谷池である。上福田の鎮守が祀られていたことから宮入沼という名がついたらしい。健康ロードという気持ちのいい遊歩道があり、沼から南に400mほどいくと駐車場もある。
この宮入沼、かつてはうなぎが捕れたというが、ニホンウナギはすべて太平洋の深海にあるスルガ海山で産卵するというのが最近の研究で明らかになったが、さて、近くに海のない埼玉の野池でウナギが自生するというのはどういうことだったのだろう。海から荒川へと遡ったウナギが細い水路を伝って、この宮入沼まではるかな旅をしてきたと考えるしかないが、一定数がコンスタントに流入してきたとすれば、何がウナギたちを惹きつけたのだろう。
そんなことを考えながら、へらぶな釣りをするおじさんといっしょに、まっすぐに立った細いウキを眺めていた。