水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

柏木沼(埼玉県嵐山)

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嵐山の野池共通の看板に見る教訓。

足場もあり陸っぱりもよし、ボートを浮かべたら最高の一日を過ごせそうな柏木沼。かつて嵐山町でメジャーな釣りスポットであったこの池は教訓に満ちている。
池の堰体にはいくつもの看板が立っている。目立つのは新しい看板。「釣り目的」での立ち入りを禁ずるという、嵐山町の野池という野池に徹底的に設置されている共通看板である。
一方、この看板のそばには「魚つりの皆さまへお願い」という、いわば釣り公認の看板も立っている。

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矛盾をついてもしかたない。なぜ古い看板を残したのかに意味がある。嵐山のもうひとつのメジャースポットの三反田沼にも同じく相反する二つの看板があることからも、意図的に残していると考えた方がよさそうだ。
もともと、へらぶな釣りの盛んな地域であり、池の管理を行っている水利組合の会員にも多くの釣り人がいるので、すべての野池を釣り禁止措置にするというのはよほどのことである。まずは釣り人にマナーを守ってもらおうという共通看板を作って立てたものの、いっこうに守られない。嵐山町の水利組合が一丸となって釣り人排除に動いたのは、長年の我慢と怒りが積もり積もってのことなのだろう。
紅葉の美しい丘陵地帯である嵐山の野池は、どれもほんとうに素晴らしい。しかしそのほとんどに新しい共通看板が立っている。

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