1300の溜め池があるがダムスペックは二基のみ。
総数3千を越えるため池を有する愛知県。その半数近くにあたる1300もの「知多野池」を抱えるのが知多半島だが、ダムとして公認された池は前山池と佐布里池の二つしかない。
中でも美浜町には知多半島全体の3分の1以上にあたる450以上の池があり、景観もいい丘陵地帯という立地もあって全国でも屈指の里池めぐりの適地。このエリアにはハイダムがひとつもないことも、たおやかな里池が集まっていることを示している。
ここでは美浜野池を中心に、周辺の常滑野池、武豊野池、半田野池を概観する。
【参考データ】知多半島の野池数(平成21年):半田市99、常滑市110、東海市43、大府市77、知多市83、阿久比町101、東浦町166、南知多町106、美浜町453、武豊町51(愛知県ホームページより)
美浜の野池
池の密度は濃いものの、多くはアクセス路が農業従事者の軽トラック仕様で狭く未舗装も多い。同じく農業用ため池が密集しているいすみ野池群(千葉)や菊川野池群(静岡)などは広域農道が整備されておりクルマでも比較的容易に水辺めぐりができるのに対し、美浜の池はマウンテンバイクでさえアクセスを断念するような池も少なからずあった。
とはいってもこれはハイカーにとってはうれしいことで、クルマを気にせずのんびり散策が楽しめる。美浜の丘陵地を東西に横断するハイキングコース「美浜オレンジライン」を中心に里池さんぽを組み立ててみたらどうだろうか。
一方、残念なことに野釣りの絶好フィールドとしての美浜野池群はもはや幻影となった。釣り禁止がいっきょに広まってしまった。
駐車場のある池さんぽ拠点としては、吉田下池がインターも近く便利。この池も釣り禁止。
常滑の野池
常滑は知多半島を初めて攻略するには良好な道路事情、少なめの交通量、コンビニ等の充実しており、広域農道「味覚の道」に沿って、いい雰囲気の野池が多く、サイクリングでの池ポタリングは気持ちいい。
へらぶな、ブラックバスの好釣り場も多かったが、釣り人によるゴミ投棄が改善されず、2015年に一挙に立入禁止措置が広がった。
ルアーや釣り糸がポンプを止めるトラブルが発生し、釣り禁止や立入禁止の池が増えていて、全面釣り禁止化の一歩手前。
拠点としては、大曽池や前山池が公園化されていてアクセスしやすい。
武豊の野池
高速道インターからのアクセスもよいエリア。
なんといっても筆頭格は長成池だが、別曽池もはずせない。別曽池では地元釣り師たちのターゲットはマブナとのこと。「ちからもち」と呼ばれる野生化したマブナの引きは侮れない。
南知多の野池
大都市圏の名古屋から高速道路で難なくアクセスできるようになった知多半島南部。知多南インターは美浜町に位置することもあり、ここでは南知多町と美浜町南部を含むエリアを南知多の野池群とした。
アクセス路は狭い上、駐車スペースの確保も難しい池が多い。
全体的にアクセス路が狭い路地の中小規模の農業用溜め池が多く、駐車スペースの確保が難しい。
農作業の邪魔になるような迷惑駐車やゴミの問題によって、ここ南知多でも釣り禁止の池は増えているのが現実である。
水辺遍路が提唱する「パーク・アンド・ランガン」で南知多の自然を満喫して・・、と言いたいところだがサイクリング拠点となるような大駐車場をもつおすすめの施設・公園がほとんどないのが現状。このエリアでちゃんとした駐車スペースがありアプローチしやすいのは豊丘新池。
半田の野池
半田でまず訪れたい水辺を挙げるなら池田大池となろうか。釣り禁止であるが、この池を内包する半田運動公園はバーベキューもできる広々とした水辺空間。駐車場豊富で拠点にもよい。
また半田は童話作家・新美南吉の故郷であり、半田池は童話『おじいさんのランプ』の舞台。この池も釣りは禁止で、半田は釣り人にはなかなか厳しいエリアである。