水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

大瀬神池(静岡県沼津)

【おせかみいけ】

この神感・・ありえない立地。そして淡水が保たれているのも謎。池の周囲の海岸に後光のような光も見える(2019年撮影)

伊豆七不思議。ありえない立地の霊池は、人気パワースポットに

見るからにオーラ全開の霊池。こんな立地にありながら淡水を保つ謎は未解明のまま学術調査も拒む神の池。伊豆七不思議のひとつ。
春は奇祭も。選定中の「ミステリー池100選」候補。


釣りをすれば死ぬ?

死ぬ。あるいは精神に異常をきたす。さもなくば不慮の災難に遭う。
魚を害した者に対する神罰である。神池のほとりに立つ看板にはそう記されている。古くから伝わる伝承だ。
釣り禁止違反は大人子ども問わず罰金500万円という和歌山県の池や、釣りをすれば愛知県警に検挙されるという池など、全国に苛烈な釣り禁止池がいくつかあるが、釣りをすれば「死ぬ」と現場に明記されているのは全国でもここだけではないかと思う。


池ばたに立つ看板には、魚を獲れば死ぬ、と明記されている(2013年撮影)


 

海上の池なのに淡水。水源をめぐる謎

駿河湾にむかって突き出した細長い岬の先端近くに立地し、駿河湾の波が打ち寄せる海岸にとり囲まれ、海抜1メートルにもかかわらず、海水に侵されることなく長く淡水を保ち、コイ、ナマズをはじめ多くの淡水魚が棲む。
周囲が海だけに水源も謎で、遠く富士山の伏流水が流れてきているという説もあり、伊豆七不思議のひとつにもなっている。
それでもいまだ謎が解明されていないのは、池の調査で祟りがあることを怖れて誰も手をつけようとしなかったという話もあったが、実際は池を管理する大瀬神社が調査を断わってきた経緯もあるようだ。


確かに魚影は濃い。浅場には鯉の幼魚と思われる大群も見られた


小さな池に3万匹の淡水魚が棲むという。



 

池を取り囲むビャクシン樹林は御神木&天然記念物

池の北岸には大瀬神社の御神木があり、一帯は130本のビャクシン樹林となっていて国の天然記念物にも指定されている。
まるで海上にある小さな淡水の聖域を守護するかのような布陣と、ものすごい威圧感で迫る樹形。
空から大瀬神池を撮影して気付いたのだが、池の周囲の海岸にだけ、後光のような光のにじみが見える。これはどの写真にも映っていた。油のようにも見える。あるいはビャクシン樹林の根から油分のようなものが分泌して、池を海水の浸入から守っているのだろうか。あくまで妄想だけど。

海上にありながら、海とはまったく異なる静謐な水面が印象的。

天然記念物のビャクシン


 

海と池の水面高を比較

海岸から池岸まで近いところでは30mしかない。池と海の両方が同時に見えるのはこの南岸側だけだった。他は離れたところでも80mほどではあるが、樹林の影になって水面高を比較できるほどの眺望が得られなかった。
海と池。
両方を見比べていると、池の方が若干、低くさえ見えた。実際には海抜1mとのこと。
近くの明神池も海チカの海跡湖であるが、明らかに池の方が海面よりも高い位置にあったので、大瀬神池が淡水を維持できていることは、ますます謎が深まった。


 

池さんぽマップ


 

海上安全の神様は赤ふんどし奉納と奇祭も

大瀬神社は海上安全の神様で、赤いふんどしを奉納する変わった風習もある。
毎年4月4日には池近くの大瀬神社で女装した青年が舟の上で踊る大瀬祭りも行われる。
水産庁選定「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」、環境省「快水浴場百選」
話題の『奉納百景』・・赤いフンドシを奉納する大瀬神池の大瀬神社は果たして・・。

岬の基部はプライベートビーチのような穴場の海水浴場。

 

アクセスと駐車場

海岸沿いの小さな漁師町をいくつも抜ける生活感あふれる県道が、やがて海に沿った急崖となってくると、右側に大瀬崎に下る分岐道がある。道は狭い。
進んでいくと旅館と有料駐車場がある。ここからは徒歩で進んだ方がよい。ほどなくビーチに沿って土産物店が並ぶ通りを進み、大瀬神社の鳥居をくぐる。
その先、境内では100円の拝観料料金所があり、奥に進むと池が現れる。池の周囲は一周できる。海岸に出ることも可能だが釣りなどはできない。


池はこの鳥居をくぐっていく。拝観料100円が必要。




 

ビューポイント

西浦江梨のパーキング

富士山とともに俯瞰できるスポット。バイクラック、案内板あり。





 

案内板



 

Google マップ