昭和薫る里池の聖地
佐渡島。ここは日本最後の昭和薫る聖地になるかもしれないと、いつも上陸するたびに思う。
この島を二度、競技ではあったが自転車で一周したことがあるので、あたたかな昭和の空気が体にしみた。離島とはいえ、海岸沿いの周回はじつに210kmもある。
2020年、およそ十年来となる三度目の佐渡では、湖沼めぐりに的を絞ってオートバイでここぞと思う水辺をまわり、2022年には大佐渡小佐渡の山池をめぐりながら1週間を島で過ごした。
島にマクドナルドはなく、モスバーガーが佐渡中心市街の佐和田に一店あるだけ。スタバもない、セブンイレブンもない、コンビニといえばローソンが島全体で数店。鉄道も高速道路もない。中心街をのぞけば酒屋もガソリンスタンドも五時で閉店。空路も2010年ごろからない。
だから佐渡島の旅にはいつも、ちょっぴり緊張感が漂う。昔、旅はこうだった。学生のころオートバイで行った北海道の極地での緊張感が懐かしい。全国チェーンのコンビニが本格展開してから、北海道はすっかり便利な観光地になってしまった。本土と変わらぬ景色も増えた。
しかし佐渡島には今なお昭和なニッポンが濃厚に残っている。
それは夜の町を歩けば、ひとしお心に染みる。
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