水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

古稀庵の泉水(神奈川県小田原)

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明治時代の元老で首相も経験した陸軍元帥・山縣有朋は、水を使った作庭になみなみならぬこだわりを持っている人物でもあった。
彼が造らせた東京目白の椿山荘・幽邃池京都の無隣庵は「山縣有朋公の庭園に水無きものなく」と水流の趣向が高く評され、最晩年に小田原に造った古稀庵にいたっては、庭を流れる滝やせせらぎのために、1.5km離れた山腹に専用の貯水池(山県水道水源池)まで造り、マイ水道で水を引いたというから、驚きを越えてあきれてしまう。
しかし、造園作法の歴史からみると、従来の山水回遊式庭園によって縛られていた象徴主義の伝統を打ち破ったエポックメーカーだったようだ。
庭園は現在、生命保険会社の研修所の施設内にあり、日曜日のみ一般公開されている。
一方、山県水道水源池の方は長らく山林に埋もれかけていたが、2011年に近代土木遺産に認定され、歩いてアクセスできるようになった。

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