水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

愛本堰堤と沈砂池(富山県黒部)

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黒部川本流を堰く愛本堰堤。昭和44年の堰体移設までは激レアゲートのローリングゲートを装備していた。
現在、愛本橋より直上に対峙して見ることができる堰堤は、水色とオレンジの配色がおもしろい。この堰堤がそびえるあたりに昔は愛本刎橋(はねばし)が、羽を広げた大鳥のような美しい姿でリソイダイトの磨崖をつないでいた。山梨の猿橋、山口の錦帯橋と並ぶ日本三大奇橋とのこと。猿橋と錦帯橋には行ったが、知らずして三つ目の跡地を訪れることになった。
この堰堤から先、黒部川の水は半分が取水されて水路へと導かれる。
そのままだと大量の砂が混じっているので、水路へ廻す前に沈砂池を通して砂を落とさせる。この沈砂池がまたなかなかの迫力。ゲート類の鋼製パーツは堰堤と同じく水色とオレンジで配色。
以下、水博物館サイトより引用。

黒部川の両岸にはかつて13の用水が作られそれぞれの堰から水を取り入れていたが、黒部川での発電事業計画を機に用水合口化することになり、旧愛本橋の約50m下流に愛本合口堰堤が昭和7年に作られた。建設までには堰堤の位置や構造について富山県と内務省土木局(現国土交通省)との意見の対立があり、最終的に狭窄部においてローリングゲートを採用した堰堤が作られた。その後、昭和9年、27年の洪水には何とか改修によって持ち堪えたが、昭和44年8月の大洪水では致命的な被害を受けたため、堰堤の移設がきまった。新愛本堰堤は旧堰堤の130m上流側に越流型シェルタイプのローラーゲート構造の洪水吐ゲートとし、昭和48年3月に完成した。愛本堰堤に達する黒部川の水量は約28億トン/年であり、そのうち約50%が愛本で取水され、黒東・黒西用水路から発電および灌漑用水として利用されている。残りの約50%は本川へ放水される。

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沈砂池のゲート配色は堰堤と同じ
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