水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

白池(高知県大月)

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ダムファン界の重鎮、安部塁氏が「位置未確認ダムを探して」という「ダム便覧」の名コラムの中で「池の谷池ダム」を探すなかでこの池を取り扱ったことで、コアなダムマニアのあいだでは知られるようになった溜め池である。
阿部氏が直感的に感じたように、堤高はおそらく15mのハイダムスペックは満たしていてはいないのでダム好きにはがっかりかもしれない。
一方、池好きにとっては喝采を挙げたくなる至福の池だろう。水の色の妖艶さ、プリミティブな護岸、そしてブラックバスがいまだ現存しているあたりで、昭和の薫りを残した懐かしい池であることに疑いの余地はない。
こんな野池感全開の池に会うためになら、はるばるここまでやって来た甲斐が報われた気がする。
「池の水ぜんぶ抜く作戦」番組や時代の潮流もあって外来魚駆除全盛となった今、初見の野池でブラックバスに出会うことはほとんどなくなった。それを良しとするか、残念と見るかは人次第だが、今はもっぱら悪役の外来生物でも、よかれと思って積極的に日本人自身の手で放流した時代もあったわけで、昨今の移民問題に既視感を感じたりする。
地方の野池でふとブラックバスを見かけると、狭い喫煙所に追いやられた都心の喫煙者と、ふと、かさなるときがある。おそらく時代は、罪のない彼らの生存を許さないだろう。

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野池でひさびさに見た、ゆうゆうたるブラックバス。そうとう人慣れしている感じだ


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斜樋と操作ハンドル。いい池だ


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アプローチ路と記念石碑。道の先に堰体が見える。石碑の碑文には「白池」と刻まれている
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