ダムの名で広く通っているが国内法ではダムではない。
前山を従えた景観のよい池だが、ちょっと不思議な貯水池でもある。
農業用ということだが平地を掘り込んだようなすり鉢形状で、インレットにあたる部位が不明瞭で、どちらかというと防災ダムや調整池の様相。岸の傾斜は全体的に緩く、コンクリートブロックで補強されていることもあって余計に調整池の雰囲気が強い。
周辺の高台といえば前山以外には見あたらないが、前山はどちらかというと堰体寄りにある。全周がコンクリートブロックで固められているし、流れ込む沢はどこに? 配電盤のついた取水設備があったので、ポンプと地下水道による揚水式であろうか。
外周は1.1kmとけっこう大きく周回ジョギングコースが整備され、駐車場・トイレも完備されていることもあって、中高年やランナーにけっこうな人気である。


「大室ダム」名義で「日光の水のある風景100選」にも選ばれており、貯水池名もないことからもっぱら「大室ダム」で通っているが、堤高は11mなので国内法でいうところの「ダム」にはあたらず、これだけ名が通っていてもダムマニアからはスルーされてしまうのである。
とはいっても釣り人はダムであろうがなかろうが関係ない。足場のよい手軽なブラックバス釣り場として人を集めた時代もあったが、野鳥保護の動きのなかで釣り禁止措置がとられ、警察まで見まわりに協力しているという厳戒態勢。それでも違反バサーは後を絶たぬとか。
なお、へらぶな釣りで有名な「大室沼」は埼玉県にあり、まったく別の水辺。
駐車場、トイレ、自販機あり。春には前山に桜も咲く。
マークした場所が駐車場。