水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

丑ヶ池(千葉県東金)

丑ヶ池親水公園。

親しみやすい水辺が広がる一方、大蛇伝説も。

一見してU字形のひとつの池であるが、じつは堤で区切られた四つの池から構成される。最大の大池を中心に、それぞれ蓮池、八郎池、新池と名付けられている。とはいっても江戸時代の築造当初はひとつの池だったらしく、対岸に渡るのが不便だということで大正時代になって橋の替わりに堤が造られたという経緯が、現地の案内看板に記されていた。
三本の堤と深く入り組んだ池岸の複雑さ、植生の豊かさ、水面の近さが魅力。
トイレ、駐車場、あずまや、ベンチと、水上デッキも整備され、文句なしの親水公園である。
また、大池の岸の一角には木々に埋もれるように龍神堂がひっそりと立っている。その昔、命を落とした女性が大蛇となってこの池に棲みついた伝承があるのだ。近くには雄蛇ヶ池という有名な池もあるが、そこにもやはり女性が大蛇になった伝説が残っている。


釣り場としての歴史も長い。

丑ヶ池は、かつてはへらぶな釣り場として知られていた。上写真の看板では白いステッカーで消されているが、うっすら読める文字を追ってみると「違法に設置された桟橋」とあり、今は撤去されて姿はないものの、看板が立てられた平成5年(1993年)には愛好家らの手で設けられた釣り桟橋が存在していたことがうかがえる。それに「釣掘と称して料金をとるような行為があった場合には・・」との注意書きからして、釣り場として盛況だったころの光景が目に浮かぶようである。
2002年に親水公園化を含めた大改修で水が抜かれ、その後へらぶな釣り場としては衰退した。
一方、ブラックバス釣り場としての知名度は高まり、現在も平日から何人ものバサーが入れ替わり立ち替わりの状態。四つの池岸は遊歩道があり足場もよいから釣り人は分散しやすい。
首都圏中央連絡自動車道の開通により、東京方面からのアクセスもますます便利になった。


蓮池の水上デッキから大池をのぞむ。(2017年3月撮影)


大池(2012年3月撮影)


大池の遊歩道。柵はあるが水面は近い。


中堤は柵もなく素朴なたたずまい。


手前が大池、奥が蓮池(2012年)


駐車場とトイレ。


案内板。


マークした場所が駐車場。