なりあいいけ。成相ダム、成相池堰堤。
「水没ダム」の魅力。
新しいコンクリートダムによってできた貯水池の中に、古い池が堰堤ごと呑み込まれてしまう「水没ダム」とでもいうべきものに、強く惹かれてしまう。上の写真では、一見、すぐ近くの上田池と同じ粗石モルタル式の堰堤に見える。が、堰体の後ろも前も水びたし。
別の角度から見てみよう。
ダム湖のいちばん奥に新しい重力式コンクリートダムがあるのが分かるだろうか。
そう、この新しい成相ダムによって古い成相池堰堤が呑み込まれたかっこうになっている。貯水池目線でいえば「成相ダム湖に成相池が呑み込まれた」と表現できるだろう。
新旧ダムがいっしょに写るアングルを探して湖周を走る。道の状態もよくじつにイージーにクルマで一周できる。新堰体横に駐車場、旧堰体横には駐車できるスペースがある。
もう一枚。
新しい方の成相ダムは、のっぺりとした表情の薄い重力式コンクリートダムである。
ダム湖畔左岸側に舗装された駐車場がある。
全国の水没ダム
水没ダムとして筆頭格に挙げたいのは長崎県長崎市の西山ダム。新堰体の真後ろに旧堰体が頭だけ出しているみごとなまでのタンデム水没ぶりである。
そこから数キロと近くにある本河内高部水源池に至っては、新堰体が旧堰体の真後ろに造られ、逆タンデムとでもいう状況にあり、きわめてめずらしい。旧堰体を公園として保存する目的においては素晴らしい工法だが、湛水量を増加させるためには下流側に堰体を新造するか、旧堰体を改造して嵩上げした方が効率的なため、普及は難しそうだ。
東北地方にも胆沢ダムの竣工によって水没した石淵ダム(日本初のロックフィルダム?)や、新堰体によって水没した旧水ヶ瀞ダム(みずがとろだむ)がある。
このページで紹介した成相池のように、他にも調査すれば出てきそうだが「水没ダム」という切り口が一般的でないため、資料は少ない。
マークした場所に駐車場。