水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

雨生ヶ池(新潟県三条)

まごいがいけ。
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湖面標高550m。山のふところ深くにある天然湖で、名主の娘と恋に落ちたという大蛇が棲む伝説が残る。周囲は800mクラスの池なのに深さは20m近くに及び、大蛇と限らずヌシといえそうな何かがひそんでいてもおかしくないと思わせる凄味がある。
国道から雨生ヶ池へと向かう県道に入って8km、さらにクルマのすれ違いが難しい狭隘路を進むこと4kmほどで、ようやく登山口へとたどり着く。
ありがたいことに、この登山口には2015年にきれいなビジターハウス(吉ヶ平山荘)と付随する釣り堀、駐車場が整備されたので、ほっとする。
ビジターハウス周辺の川は吉ヶ平フィッシングパークというトラウトの管理釣り場になっている。上流側には立派な砂防堰堤もあった。

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登山口駐車場。釣り堀もある。


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登山口近くの河川を利用した吉ヶ平フィッシングパーク。


山荘からキャンプ場側の登山道は、大池へと到る。
雨生ヶ池に行くには、この道ではなく、山荘先の橋で川の対岸(左岸)に渡り、堰体の方へとのびる林道を進む。やがて林道は登山道へと様相を変えていく。
途中、二ヶ所、分岐があるので注意。

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一回目の分岐。まっすぐ行かず左へ。看板あり。


登山口から30分ほど歩くと雨生ヶ池に到着する。
ブナの原生林に覆われた池だから日ざしが遮られ暗いには暗い。しかし不思議と妙な気味悪さは感じない。湖面で小さな音を立てながら、波紋が次々と踊り広がっているせいだろうか。
よく見ると10センチから15センチほどの赤っぽい魚が群れている。

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シナイモツゴだろうか。この魚、もともと新潟県の在来種だが、平野部などでは国内移入種であるモツゴやタモロコに追われ、今や山間部に残るだけだそうである。他、この池で昭和27年に発見され池名から命名されたアマゴイルリトンボも生息。(上の大きい写真の右下に見えるイトトンボのようなトンボは、アマゴイルリトンボと思われる。魚を撮っていたら偶然、写っていた)

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雨生ヶ池の主だった大蛇と名主の娘「笠堀姫」の恋にまつわる伝説にちなみ、毎年8月第4土曜開催の「しただふるさと祭り~雨生の大蛇祭~」が開催されている。
この祭りでは長さ8m、頭部の重さ500kgの大蛇を模した木製の御輿をかついで練り歩く。大蛇の上には笠堀姫に扮した少女が乗る。女性が御輿の上にのるというのは、かなり稀有な事例なのではないかと思う。
祭りはさすがに山奥の池で行われるわけではなく、会場は三条市内と八木神社周辺である。また、大蛇伝説を取り入れているが、祭り自体は平成10年からのもので古来の伝統行事というわけではないようだが、若者たちの元気な姿を見ることができる。


マークした場所は登山口駐車場。

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