さわらいけ。
ハイカーで人気の南アルプス甘利山の登山口に向かう県道の途上、標高1,200mの山腹にたたずむ小さな池。池の周囲は高層湿原となっており、貴重な動植物が生息する。
1980年代、この池が突如干上がり、池底の岩に突き刺さった一本の鉄剣が見つかり大騒ぎになった。鑑定で奈良時代のものと判明した。しかし剣が何を封じようとしたのかはいまだに謎である。
時代は下り、甘利氏がこの地の領主として台頭。甘利氏の二人の息子が椹池でふな釣りをしていたところ、大蛇に引き込まれてしまったという。甘利氏の復讐におそれをなした大蛇は赤牛に姿を変えて甘利山の頂まで逃げ、近くの大笹池に身を隠した。しかし甘利氏の追及はとどまることなく、この池も追われた。
人間が池の主を徹底的に追い詰めるという伝説はめずらしい。
鉄剣や甘利山伝説にまつわる写真や資料は、椹池湖畔にある白鳳荘に展示されている。池の周囲には遊歩道がめぐらされ、山荘主人の手作りの案内板が味わい深い。
池のほとりでは素朴で低価格なキャンプ場もある。食事および宿泊も可能。甘利山登山と合わせて楽しめるフィールドである。
湖畔のキャンプ場
椹池につきだした高層湿原の浮島
県道からの遊歩道
県道沿いのトイレ
池の名前の由来となっている椹(さわら)の木。檜(ひのき)と見た目はウリふたつであるが、椹は成長のスピードが早い一方、材木としての価値が低い。左が椹、右が檜。
上が椹。下が檜。
マークした場所が白鳳荘の駐車場。