潮遊沼、ピンヤ湖。
往年の「ダブ攻め」「賃打ち」は、土地の風物詩。
旧暦の8月の深夜に現れる不知火(しらぬい)で知られる八代海。
この海を農地開拓のために埋め立てた広大な干拓地に、遊水池として埋め残されたもの、いわば海の名残りを地元では「ダブ」と呼ぶ。
大江湖もダブのひとつで、八代海とのあいだには堤一本を通すのみ。樋門を開ければ海水が入ってくるので、鮒や鯉のほかボラ、ウナギも遊漁対象魚になっている。
大江湖はかつて投げ網漁のメッカ。漁業者にとどまらず、投げ網ファンが遊漁料を払って行う「賃打ち」で湖面がボートで埋まるほどだった。
「ダブ攻め」と呼ばれる網開き(網入れの解禁日)の名残りとして、一年に一回、大潮の日曜に観光投げ網漁も行われている。
二つの池が水路で連結しているような形状をしているが、Googleマップでは二つ合わせて大江湖で、別称として潮遊沼があるような記載。一方、カーナビの方は二つの池を、大江湖、潮遊沼で別々のような表記方法である。
ここはまた、へらぶな釣り場としても有名であり、釣り師のあいだでは「ピンヤ湖」という呼び名で通っているようだ。
ところが熊本県の官報によれば、大江湖とピンヤ湖は別ものとして扱われている。(下写真)
また、「ピンヤ湖」ではなく「ピンヤ」と記されている。
こい、ふななどいわゆる雑魚の遊漁料を見てみると、手竿&徒歩の場合、年券では大江湖の方がピンヤよりも高いのに、日券になると、なぜだかピンヤの方が高い。この奥深さはなかなか惹かれるものがある。
果たして「ピンヤ」とは何か。ビルマで1300年代に半世紀だけ勃興したシャン族の王朝にピンヤ朝があるが、関係なさそう。
ともかく、ここ大江湖でのへらぶな釣りのスタイルとしては海とを隔てる堤防側までクルマをまわし、釣り座を設置。クルマは釣り座の後ろ側に停められるようだ。
この堤防ではオイスターハウスが営業をしている。