水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

谺ヶ池(京都府京都)

【こだまがいけ。谺ノ池、こだま池、新池】
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失踪人を探すヒントが見つかる? 七不思議の池

全国のお稲荷さん総本山。その中でも最強とも

京都・伏見稲荷大社は全国3万社の「お稲荷さん」の総本山。外国人観光客には日本を感じるパワースポット・ナンバーワン人気。
山麓から山頂までびっしり渋滞したような赤鳥居のビジュアルが有名な伏見稲荷大社だが、「びっしり」感は鳥居だけではない。稲荷山全体が境内のように見えるものの、単一の寺社ではなく、ゆかりのある摂社、末社や、個人がマイお稲荷さんを建てた「お塚」など、大小おびただしい数のお社で構成されている。

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中でも最強パワースポットとして参拝者、観光客がめざすのが、稲荷山の中腹に穿たれた谺ヶ池のほとりにある熊鷹社。
熊鷹社の社殿は池の吐き出し側にせり出した石垣組みの上にあり、信仰スタイルも含めて池と一体化したものになっている。
なんといっても熊鷹社への祈願と池に向かって手を打つ占いがセットになっているのだ。現地の由緒書きにはこうある。

熊鷹社(谺ヶ池)(※筆者注・「谺」に「コダマ」とフリガナ)
「熊鷹大神」でローソクなど供え、願い
事、頼み事などのお祈りを済ませ、
難切り不動尊の横、池の畔で柏手を
二回打つと幸運を示す方角より
コダマ(谺)が返って来ると言う。
また、コダマが近くより返って来たように
思うと願い事は早く叶い、遠くから
返って来たように思うと願い事の
成就は遅くなると言う古くからの
言い伝えがあります。
稲荷山には、随所に玉姫大神が祀ら
れて居りますが、良縁の神様として
知られ、若い人達には勿論の事、また
商売の相手先の良いご縁をいただく
意味から投資家、証券会社など
信仰者も多い。

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伏見稲荷大社の七不思議にも数えられる

この伏見稲荷大社に伝わる七不思議のひとつに数えられるのが、この谺ヶ池。
山全体が濃厚な霊気で包まれる稲荷山にあって、木々の緑に隠されたような小さな窪地に水がたまっている。水は清浄という感じではなく、むしろマディー。古来から多くの人々の欲、思い、情念を溶かし込んだような色をしているようにも見える。
手を打てばコダマが返ってくるのは、そんな音響ホールのような地形のせいだろう。しかし岩盤に囲まれているなら分かるが、水面上にひさしのように覆いかぶさっているのは木々である。いったいどこに音が反射しているのだろう。
由緒書きによれば、音が戻ってきた方向と距離感が占い要素になっている。

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案内坂

 

尋ね人探しを探すヒントも?

祈願成就の占い要素として公式見解が表明されている谺ヶ池だが、裏モードでは失踪人を探すヒントが隠されているという「ダヴィンチコード」の謎みたいな話もある。
やはり池に向かって手を打ち、音が返ってくる方角と距離感にヒントがあるという点では同じ。
コダマが近くに感じるか遠くに感じるかは何ぶん主観的なものなので、何か判断基準みたいなものが欲しい気もするが、そもそも、方角、距離感が変化するのが不思議だし、どこに音が反射しているのか、よく分からないのも不思議。


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おおっ! 取水設備か!?

 

「新池」という農業用ため池のような別名

Google マップでは2020年現在、この池は「新池」と記名されている。これは誤記ではなく、谺ヶ池のもうひとつの名である。
池からの流れ出しは350m下ったところで、おさんば池(八嶋ヶ池)に流れ込む。流れ出しは石組みやコンクリートで護岸された水路で、斜面を登る千本鳥居に付き従うようにわきを流れている。

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谺ヶ池から流れ出した水路は、おさんば池へと通じる

摂社、末社、お塚、茶屋が東側の岸を埋め、参拝者がたえることもない池なので、古くから信仰とともにあったように見えるだけに、「新池」という名前はどうもそぐわない。農業用ため池の密集地帯でよく見られるネーミングで、古くからの池に対してセットで使われることが多い。
谺ヶ池の場合は通水先の、おさんば池だろう。おさんば池は農業用ため池を特徴づけるような設備は見あたらなかったが、谺ヶ池の方は吐き出し側に取水設備らしきものがあった。スライドゲートの開閉ハンドルのように見える。
もとは溜め池という情報もあったが定かではない。水門の開け閉めのために毎度、千本鳥居の参道を行き帰りしていたら、苦労も大変だがご利益も積りそう。ただ、池には徒歩だけの千本鳥居ルートとは別にクルマも通れる管理ルートもあった。


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池の南西側の岸。鳥居とお社がびっしり


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池の北西側は参道が奥へとつづいている
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鳥居は一本一本、願いが叶ったときに奉納されたもの。希望者が多く、スペースがないため空き待ち状態だという

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