【広島県立中央森林公園】
「里池」の元祖ここにあり?
広島空港開港を記念して1993年に開園した三景園の構成要素のひとつ。
まさに現代の築山池泉回遊式庭園であるが、「三景」の名のもと広島県の里、山、海を、ひとつの空間に体現しようという意欲的な庭園だ。
下に広がる大きな池の名は「大海」であり、山の中腹にあるこちらは「里池」。三要素のうち、「里」パートの主役だけに「里池」という名なのだろう。里池という用語は水辺遍路の造語と思っていたが、固有名詞とはいえ、1993年から「里池」を名乗っているのだから、ここ広島が元祖といえそうだ。
この里池、人工渓流を通じて「大海」に流下しているだけでなく、流れ込みの上流側は険しい岩場となり、三段の滝まで造り込まれている。
山に降った雨が里を潤し海に流れ落ちるさまを水で表現。里、山、海の「三景」の心意気。
これで入場料260円は安い。もっとも駐車場は空港と共有なので有料であるが。
さらには「大海」の下に、じつはホンモノの里池というか、現役の溜め池が構成要素として入っているあたり、池好きにはたまらないものがある。
てっきり歴史ある庭園かと思っていましたが、考えてみればもともと広島空港のあったこの場所は溜め池がたくさんある中山間地。
町中でもないかぎり大名庭園があるはずもありません。しかし、よもや空港を造成したときに出た土や石を有効活用しようとして造園された現代的エコロジーパークとは想像もしませんでした。
横浜の歴史ある「三渓園」と名が似ていたことも一因だったかもしれません。
上から見ると、既存の溜め池を残しつつも、うまく空港近くに立体的に造園されていることがよく分かります。
マークした場所は三景園入口。