水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

百穴湖(埼玉県吉見)

大沼。

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インレット側からみた百穴湖(大沼)。

百穴湖は本名を大沼といい、江戸時代に灌漑用に造られた比企丘陵の溜め池群のひとつで、湖周長は1kmを越える大型の溜め池。
流れ込み側も台地に畑や住宅が広がっており、これだけの規模の池を満たす水源となる森や丘陵が見あたらないのが不思議。樹枝状の谷戸地形をうまく利用して集水しているということか。もっとも地形的に池底はフラットな浅底だろう。見た目ほどの貯水量はないのかもしれない。
現在は小高い丘にあるカルソニックの工場を本丸とした堀割のように百穴湖、和名沼、天神沼の3つの池が取り囲んでおり、へらぶなやブラックバス釣りのローカルメジャーな野釣り場だった時代もある。
初めた訪れた2013年の時点ではバサーの姿はあったがへら師の姿はなく、5年ぶりの再訪では釣り人は誰もいなかった。
インレット側は親水公園として整備され、デッキウォークも設けられ、ちょっとした湿原の様相を呈している。簡素な公園で小広場があるほかは駐車場もないが、堰体下には未舗装の駐車スペースと四阿(あずまや)、案内板がある。
百穴湖という愛称はいつ誰がつけたのか分からないが、気がつけばGoogleマップに記載されていた。由来は近くにある国の史跡の吉見百穴。古墳時代後期の墳墓群で、墓穴の中には天然記念物のヒカリゴケも生息。
池からは600mほど離れたところにあり入場有料だが、地下軍事工場跡地などもあるので史跡観光のついでに池まで足をのばせば「百穴」の味わいも深まりそうだ。
なおヒカリゴケとは少し違うが、ヒカリモが天然記念物となっている水辺が千葉の房総半島に点在している。

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百穴湖(大沼)の全景。
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堰体には取水設備が二ヶ所に見える。取水塔タイプと奥は斜樋タイプのようだ。


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インレット側は親水公園になっており水上デッキも設けられている。


2013年3月の百穴湖。


bunbun.hatenablog.com
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マークした場所は親水公園。駐車スペースは堰体下側。