水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

天子湖(山梨県南巨摩)

てんしこ。柿元ダム。
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数々の苦難を乗り越えて。

富士山と南アルプスの間に長々と溝を彫り込んだように富士川が北から南へと流れる。富士川沿いに走るJR身延線の井出駅は朝夕に学生が利用する程度の小さな駅。この駅のかたわらから天子湖へとつながる狭隘な道が出ている。
かつて50オーバーのブラックバス連発の噂があった天子湖には、かなり前から行ってみたいと思っていたが、山道が厳しそうなのでなかなか実現できずにいた。
2015年夏にやっと機会がめぐってきた。無人駅の横に10台ほどの駐車場があったので、ここにハイエースをとめて艦載小型偵察オートバイ(モンキー)を出撃させようと準備していると、にやにや笑いながら近づいてくる女性が。すみません、ちょっとそのままでと言われ、降ろしかけていたモンキーをそのままに見守っていると、しゃがみこんだ女性はライターをかちっかちっとやりだした。モンキーを車内にもどし、ラダーももどして見ていると、ライターを手にしたまま女性がこっちを向いて言った。
「いやあ、こいつ、生かしておくわけにいかないから」

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女性の足もとにはアスファルトの割れ目から小さな木が生えていた。路面のすぐ上でちょん切られているが、その小指ほどの切り株のことを指しているようだった。
こんないきさつがあり、気持ちわるいし、けっきょくハイエースで山中に入ることになった。あとからしてみればハイエースワイドのコミュニティバスも走っていることも分かったので無理な道でもないのだが、それでもすれ違いごとにクルマを止めて、じりじり車間と谷底を見比べながら試すように進むのは、何度も経験したいことではない。
おまけに行程のなかばほど進んだところで、カーナビが狂いだした。道を間違え、右往左往。やっとの思いで到達した天子湖だったが、木々に阻まれほとんど湖面が見える場所がない。

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柿元ダムは日本軽金属の発電用ダム。堰堤側からは立入禁止・釣り禁止で入釣はできないし、湖岸が切り立っており水面へのアプローチは容易ではない。湖の上流の渓ではヤマメ狙いの釣り師も入るようだが、こんなところでほんとうにブラックバス釣りなどできるのだろうか。上流にはマムシの養殖場もあるほどの秘境である。
しかし、何やらあやしげな魚影が・・。

上の写真。ダム湖のブイに沿うように黒くあやしい魚影らしき帯が。拡大してみると、へらぶなだろうか。かなり大きそうだ。


堰体
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看板等
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