水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

市ヶ谷フィッシュセンター(東京都千代田)

いちがやふぃっしゅせんたー。
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名前を知らなくても、総武線の市ヶ谷駅から見える釣り堀、といえば多くの人がうなずくであろう。
江戸城外堀、神田川に沿う中央線の通勤電車の車窓から、これまで何百万人という勤め人が羨望ともつかぬ目で眺めてきたこの池。
誰もが一度は思ったはずだ。
ここでいつも釣りをしてる人は、どんな人たちなんだろう。

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長年、車窓から眺めるだけだった友とともに、やっとささやかな憧れをかなえることができたのは2010年の初夏だった。汚れるといっても、友はどうしてもスーツで釣りをするといってきかない。人それぞれ、思いというものがあるのだ。

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対象魚はコイ。釣り場としては難易度が高いことで有名だが、通いつめていけばコツがつかめてくる。
友人とともに初回は1時間で釣果ゼロ。
何度か通って釣れるようになってきた。そのころには貸し竿でなく、自分の竿を持ってくるようになっていた。

ここでは釣った魚の重量に応じてポイント券がもらえる。1kgが1ポイントで7ポイントになれば、1時間の無料券と交換してもらえる。
つまり、1時間で7kg以上を釣ることができれば、次の1時間が無料になるということである。さらに次の1時間で7kg以上釣れば、また次の1時間が無料になる。

こうして通いつめた常連たちは、磨きあげた手製の道具とエサとで延々とただ釣りをするのである。
彼らに憧れ、自分もいつかと通いつめるようになれば、市ヶ谷の魔力にとりこまれたも同然。気がつけば、自らが中央線の車窓から眺められる存在になっている。どんな人たちなんだろうと思われながら。

最近では、ぱりっとスーツに身をかためた女性が単独でやってくるのを見かけるようになった。自分で配合したらしいマイエサをしゃれた包み袋から取り出し、さっそうと釣り上げる。小一時間もすると道具を片付け、ポイント券を受け取り、何ごともなかったかのようにオフィスビルの雑踏へと去って行く。

熱帯魚店が併設。貸し竿、エサもあり、手ぶらで釣りが楽しめる。
金魚釣り、初心者用池もあり、家族連れやカップルでも。
駐車場5台ほど。

>オフィシャルサイト


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(2013年撮影)