水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

天若湖(京都府南丹)

あまわかこ。日吉ダム。
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国直轄系ダムとしては全国2位のレジャー客動員数を誇るダム湖。

水資源機構が管理する多目的ダムである日吉ダムがうみだした天若湖は、湖面のレジャー利用が大きく認められており、ボート釣り、カヤックが楽しめ、ダム湖100選にも選ばれている。左岸の二車線道路沿いには随所に駐車場や展望所が設けられ、ツーリングやドライブの休憩スポットとしても人気が高い。
2018年初夏の再訪では、あまりに暑かったので木陰の湖畔駐車場で涼しくなるのを待った。近くのスーパーで買った焼き鯖とハモをつまみに、ぼさっとしていると、食べこぼしに大中小の蟻がいち早く寄ってきた。
小さい蟻には、さすがに手が出ないらしくまわりをうろうろするだけ。大蟻は大蟻で意外と根性がなく、休み休み、ちょっとずつしか進まない。
感銘を受けたのは中サイズ、よく見る日本標準の蟻。体の何倍もある鯖の小骨を後ろ向きに引きずっていく。遠目には骨だけがずるずる動いているように見える。
慣性の法則が経験的に分かっているのか、動きだしたらダッシュである。だらだらとは運ばない。どこからそんな力とエネルギーが出てくるのか感心するばかり。見ていて飽きない。
しかしどうもみんなてんでばらばらな方向に獲物を運んでいこうとする。こっちの蟻は骨を加えたままタイヤをよじ登りはじめた。どうみてもそっちに巣はなさそうだと思っていると、別の蟻は車道の方へと向かっていく。クルマに轢かれないか心配で、コーンを移動させたりして進路を保護してやる。
ときどき同種の蟻に会うのだが、なぜだか手助けする気配はない。
と思っていると、妻が二匹で協力して運んでいる蟻を発見した。ちょっと別の蟻を見ているあいだに、この連携プレー蟻の姿が消えた。よく見ると、二匹の蟻が別々の方向に進んでいる。一匹は小さい身の破片、もう一匹は大きい破片をくわえている。もともとは別の巣に属するライバル蟻の二匹が、互いの巣の合流点までは一時的な協力をしていたものの、最後には勝負になったようだ。ライバルが戦略的に一時的な協力をするなんて、まるで自転車競技のようだ。あるいは単に奪い合いをしているのを勝手に協力していると見てしまっただけなのか・・そんなことをもやもや考えながら、気がつけば二時間ばかり過ごしてしまった。

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ダム下の左岸と右岸にまたがるレジャー施設は歩行者専用の橋で結ばれている。

ダム堰体下には日帰り温泉やバーベキュー広場を備えたゴージャスな道の駅があり、休日はクルマでいっぱいになる。最近のグランピングの流れを受けて、手ぶらでバーベキューが楽しめるコースも用意されている。
日帰り温泉には25mの温水プールも併設され、同一料金でプールも温泉も利用することができるのはありがいことだった。プールのテラスにある小プールからは下を流れる川を見下ろせて、網を持った子どもたちの姿があった。

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どこか空母を思わせるたたずまい。

日本で初めて堰体内部を公開したダム。貯水池はダム湖100選にも。

最近ではわりとあちこちで堰体内部を見学させてくれるようなダムが出てきたが、最初にその道を切り拓いたのが、ここ日吉ダムである。それだけでなく、近年の国営ダムの大きな流れである一般開放路線の先駆者でもある。
重力敷コンクリートのダム本体は、どこか空母を思わせる。堤体は大型船の側面のようにのっぺりしているが、ゲート操作棟が艦橋のような面構えで独特の魅力がある。
洪水調節のほか、大阪、京都、兵庫の三県に水道用水を供給する重要な任務を担う。
ダム湖の中ほどには半分、水没ダムとなっている世木ダムがあって、天若湖の個性に一役買っている。
両ダムサイトの周囲など、一部に航行制限区域・禁漁区も設定されているので注意。
レンタルボート店あり。入漁料400円。



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堰体と天端


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道の駅と案内板

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マークした場所は道の駅。