水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

機織沼(宮城県登米)

はたおりぬま。舟不入沼とも。

伝説の多い沼である。
古来、舟不入沼と呼ばれていたように、底知れずの霊沼として船を浮かべる者もいない。

「水深く清くして其の形は、奈良の「猿沢の池」の如し」といわれ、晴れた風のない日には水底から弁財天の機織りの音が聞こえることがあり、その音を聞いた者は命を落としたという。
また沼のかたわらの丘陵にはかつて城があり、城主夫人が沼に身を投げたという伝承も残る。その供養してから機織りの音は途絶え、船を浮かべても大丈夫になった。

また、江戸時代には近江の錦織源五郎が、へらぶなの祖型であるゲンゴロウブナの繁殖を試みた。沼の周辺は錦織地区という名称で今にそのおもかげを伝える。探訪した日には、へらぶな釣り師の姿は見られなかった。
ブラックバスは2005年ごろは40オーバーもよく釣れたようだが、2013年現在は再放流がゆるく禁止(持ち帰り推奨)となっている。