水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

あざみくぼ沼(埼玉県滑川)

国営武蔵丘陵森林公園。

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沼まつりの主会場。国営公園の池で、参加型の盛大な池干し。

武蔵丘陵森林公園の敷地内に41ある池沼のひとつであるが、北エリアの横綱が山田大沼なら、南エリアの方は、あざみくぼ沼であろう。
池を眺めていると後ろからものすごい子どもたちの歓声が聞こえる。ふり返れば、公園きっての人気施設「ぽんぽこマウンテン」という白い小山の上で、何十人もの子どもらがぴょんぴょん飛び跳ねていた。
園内のため池は古いものは古墳時代から江戸時代に築造されたといい、代々、地域の人々によって大切に維持されてきた。
コンクリートのない時代なので、おおよそ6〜7年に一度は沼普請(ぬまぶしん)と呼ばれる大規模なメンテナンス工事が村人総出で行われた。
基本は水を抜いての「かさあげ」。現代のダムにおける嵩上げ(かさあげ)工事だと、堰体の高さを積み上げて貯水量を増やすことを指すが、武蔵丘陵の沼普請における「かさあげ」は池底の泥や堆積物を取り除き、水深を取り戻すことを指し、現代の意味では「かさあげ」ではなく「底さらい」である。
必要に応じて、取水口である木製の樋の伏せ替え、堤の内側と外側を補強する「内はぎ」「外はぎ」も行われた。
重労働の中で村人たちの楽しみだったのが魚獲り。池のメンテナンスと魚獲りをセットにして動員する知恵は全国的に見られるものであるが、武蔵丘陵公園のすごいところは、これを現代において一般参加型イベントとして復活させたことである。
10月下旬、入場料が免除される無料開園日の日曜に、沼まつりと称した水抜きと魚獲りは、すでに30回を越える。

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国営武蔵丘陵森林公園の案内板。池名がしっかり記されている。


マークした場所は武蔵丘陵森林公園の中央口駐車場(有料)

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