水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

山王海ダム(岩手県紫波)


堰体に描かれた「平安」の文字に込められたもの。

源平、新田義貞らの落人が隠れ棲んだのが起源という山王海部落が湖底に沈むダム湖。そこに人々の営みがあり哀楽があったことを偲ばせるよすがは、もはやダムの名のみである。
ダム下流側にある志波稲荷の御稲荷さんの石像の耳が欠けているのは、この地が江戸時代から水喧嘩の激戦区であったなごり。村総出の石合戦では死者が出ることもあったが、水不足になるごとに頻発し命がけの争いは大正時代までつづいた。
昭和になってこのダムができたことで水争いはなくなった。そう思えば堰体に描かれた「平安」の文字がずっしりと感じる。
さて、この人造湖ではへらぶな釣りのジャミがヤマメという夢のような贅沢さ。
アクセスは志和古稲荷神社からダム湖へとつづく脇道に入る。東北道紫波インターからのアクセス路は終始、快適。途中、コンビニが一軒あるので飲料等の調達を忘れずに。湖周路はクルマも通行可。


看板