水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

善定寺池(埼玉県加須)

ぜんていじいけ。
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池は川が決壊した場所に激しい水流で洗堀されてできた「押堀(おっぽり)」と呼ばれるタイプの天然湖沼。埼玉の利根川沿いには、こういった「押堀」が見られ、中には決壊した地点ということで「切れ所沼」という名をもつ池もある。江戸時代は現在とはまったく川筋が異なっていて、ここ善定寺池のかたわらに浅間川が流れていた。
北に才谷ヶ池、オハナ池とオリオン三つ星のように並んでいるが、いずれも押堀である。

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樹脂パレットを転用したへらぶな固定釣り台が岸に複数点在し、釣り場として愛されていた痕跡はあるが、訪れた際は池そのものがロープ柵で囲まれ立入禁止看板が。看板設置者は加須市。
この池はウィキペディアにも掲載されており、夜になると化けて人里に蕎麦を食べに来るお化け鯉の伝説など興味深いが、今は整備された道路と住宅に囲まれ、土地から漂ってくる雰囲気のようなものは薄い。
ただ池岸は高さ数メートルはあろうかという藪とヨシ群落に囲まれ、目を細めて想像力を高めれば、そんなお化け鯉も棲んでいたのかという景色が見えてくる。
けっして大きな池ではないが、水深4mとのこと。水源は雨水と地下水。
北にある二つの押堀も合わせて、今後、公園化をぜひ期待したい池である。

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ヘラブナ釣り台が見える
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