発電用ダム。堰体へのアプローチ路は立入禁止となっており、かろうじてダム湖を木々の間から垣間見るのみ。
ダム名となっている「八尾」といえば、九月一日から夜通し踊り明かす幻想的な祭り「おわら風の盆」の舞台。三味線と胡弓が奏でる哀愁を帯びた音色が秋の気配を含んだ風にのり、目深に編み笠をかぶった男女の踊り手たちは下を向いたままで、顔は見えない。三日もつづく祭りだというのに、艶やかさの裏に現世を越えたものとの交感を感じずにいられない。
高橋治の小説『風の盆恋歌』をひさびさに読み返したくなった。
- 作者: 高橋治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/08/28
- メディア: 文庫
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