水辺遍路

訪れた全国1万1,700の池やダムを独自の視点で紹介

宇曽利湖(青森県むつ)

【うそりこ / 宇曽利山湖】

霊場「恐山」に鎮座する異界オーラ全開のカルデラ湖

正式な名称は「宇曽利山湖」。宇曽利山は恐山(おそれざん)の古名で、語源はアイヌ語の「ウショロ」とされ「入江」や「窪地」を意味し、おそらくは宇曽利湖そのものを指していると思われる。恐山を直訳すれば「入り江(極楽浜か?)のある窪地の山」となろうか。
湖面標高は210m前後で、数メートルの上下があり、潮汐現象に似ているという報告もあり興味深い。平坦な湖底の平均水深は10mほどで、西北部に15mほどの深場があり、さらにその一ヶ所だけが最大水深23.5mのドン深になっているとの研究報告があり、今も湖水に硫化水素をもたらしている現役の火口ではないかと思われる。
水質は濃いところでは、食用酢ほどの強酸性で、生息できる魚類は耐酸性に進化した宇曽利湖ウグイのみ。
取り囲む山に目をやると「恐山」というひとつの独立峰があるわけではなくカルデラ湖を取り巻く外輪山全体が、開山862年の「恐山」という霊場名となっている。
極楽浜の荒涼とした水景は、今生と彼我の堺を思わせ、浜のそこかしこに積まれた石塔にはプラスチックの色鮮やかな供養風車が音を立て、風音を掻き乱していた。
日本の重要湿地500に選定。

宇曽利山湖(宇曽利湖)の構造と特徴

「古代湖」に匹敵するご高齢の天然湖

ボーリング調査での湖成堆積層は40mに及び、数万年から数十万年というけっこう高齢の湖であると同時に、昔はもっと大きく深い湖であったと推定される。
なお「古代湖」は世界的にも20例ほどしかなく、日本最高齢の琵琶湖は400万歳でケタが違う。もっとも400万年というのは世界的にもトップクラスの長寿ぶりではあるけれども。

「ニッポン湖沼図鑑」琵琶湖のページより抜粋(2025年12月)

湖底から硫化水素が噴出し、水質は強酸性

湖底から硫化水素が噴出しているため水質は強酸性。真水も流入しているため濃淡があるが、濃いところでは、お酢ぐらいのph3。
下の写真は強酸性の流れ込みを拡大。(2025年11月撮影)

世界一、酸に強い魚「宇曽利湖ウグイ」が生息

宇曽利湖ウグイという進化種をのぞいて魚類は生息していない。このウグイはエラに環境に対応する機能を発達させており、生物学上の研究対象にもなっている。産卵は中性の流入河川で行い、成長して湖に下る。




 

宇曽利湖の形態と景観

地形(空撮)

現在は湖岸の一角を占める剣山の噴火に起因するカルデラ地形。もとはもっと広く深い湖だった。
剣山は写真の右奥、恐山菩提寺の後方の山。


極楽浜

白砂のビーチに供養風車をのせた積み石が連なる水景色は、宇曽利湖を代表する湖景。


流出河川は三途川の一本のみ

三途の川にかたどられた正津川(しょうづがわ)に流出した湖水はおよそ10kmほどで日本海に流下する。


流入河川

強酸性水の流れ込み

毒ガスで植物がまばらな恐山小地獄からの流れ込みは水の色が白濁している。この流れ込み周辺にはビーチが広がる。


十本ほどの真水の流れ込み

北岸から南岸にかけての西岸側は、人の手の及ばない原生林が広がり、宇曽利湖に真水を供給する流入沢が10本ほどあるようだ。
流入口には土砂の堆積も見られ、蛇行した河口に湿地帯が発達している。
流入水は真水でドジョウ類が生息するほか、宇曽利湖ウグイの産卵場所にもなっている。

恐山霊場側の岸




 

周辺スポットと地酒

境内の湯小屋

参拝料は必要だったが、湯自体は無料だった。(2013年)



恐山冷水


恐山展望台


道の駅

地酒「関乃井」

恐山の麓の町、むつ市の酒造所で醸造された地酒。
地元に愛される酒造りをめざし、下北半島以外にほとんど出荷されていないという。



 

マップ

ニッポン湖沼図鑑マップ

Googleマップ

マークした場所は駐車場。