水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

鶴間池(山形県西川)

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鳥海山南麓に穿たれた断崖の大地溝の底に、鶴間池がたたずむ。道路は左の崖上のへりを進んでいる

 

「シシ神感」は東北トップクラスの山池

東北一の高峰にして百名山である鳥海山の裏参道「鳥海高原ライン」のつづら折りを曲がるたびに標高が上がっていく。この登山道路、表参道の「鳥海ブルーライン」の海が見える華やぎこそないものの、じつはクルマで走っていて気づかないだけで、とんでもなくダイナミックな断崖のへりを進んでいるのである。
そんな地形の迫力を伝えたくて空撮にのぞんだ。じつは空撮をしなくても鳥海高原ライン沿いの「のぞき」という駐車スペースがあって、読んで字のごとく鶴間池が肉眼でのぞけるビュースポットになっているのだが、地形全体の把握は鳥の視点に立つしかない。

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左から二枚目のみiPhoneで撮影

地形の神秘、迫力が伝えきれたかというと、まったくの失敗作である。別の地点からフライトし、もっと引いたアングルで見ることができれば、鶴間池が大地溝の中にできた中二階の踊り場のような台地にあることが分かるのだが、正直、Googleアースで見た方が地形の迫力が伝わる。
巨大な断崖を生んだ大規模な崩落が、踊り場の台地を作り、沢を堰き止めて鶴間池を造ったものと思われるが、別に池にならずにそのまま台地下の谷に流れ落ちてもよさそうなものを、どんな神の采配がここに池を造らせたのだろう。

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まるで映画『もののけ姫』のシシ神の森を思わせる深いブナ林の中の池。新緑もいいが10月の紅葉は特に素晴らしい。
のぞき駐車場の近くに湖畔に降り立つハイキング路入口があり、往復75分。鳥海高原ラインをのぼりつめると鳥海山湯の台口登山口の駐車場がある。
鶴間池はモリアオガエル繁殖地(県指定天然記念物)。ということで、ちょっと魚釣りは厳しいかもしれない。
なお豪雪地帯のため鳥海高原ラインの全線開通は6月下旬ごろとなる。
鳥海高原ラインを山麓まで下ると、もうひとつのシシ神感スポットの穴場である数河ノ池もある。

bunbun.hatenablog.com
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このアングルからだと、巨大な溝の中にできた踊り場に池があることが分かる


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駐車スペースと、鳥海高原ライン


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鶴間池に降りるハイキング路入口



マークした場所は「のぞき」駐車場。