水辺遍路

実際に行った池やダム 9,800ヶ所を掲載

月不見の池(新潟県糸魚川)

【つきみずのいけ。月不見池】
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さすがに月が見えないってことはないと思うけど

出会いは偶然だった。糸魚川の海沿いの国道を次の目的池に向かって走っていたとき、「●●池」と記された看板が目に入り、反射的に交差点を曲がった。
国道から4kmほど山側に走ったところに、月不見の池の入口があった。
糸魚川といえば国道難所の海岸「親不知(おやしらず)」が有名だが、月不見の池(つきみずのいけ)のネーミングにも通ずるものがある。
この池の池畔に立つと、そびえる大岩と木々に囲まれて月も見えない、というのが名の由来とか。もっともある程度の大きさのある現在の姿からすると、月がまったく見えないということもなさそうに思うが。
池の奥の森には四国八十八箇所巡礼のレプリカコースもあり、かつてはけっこうな観光地だったことを思わせるが、今や廃墟の予感さえ漂うさびれた空気。
かつてギラギラしていた観光地の気合が、町といっしょにほどよく年を重ねて今がある。そんな過去のギラギラの残光は昭和ノスタルジーともいえようか。


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廃墟感をまぶしつつパワースポット感もあるノスタルジー池

廃墟感とパワースポットというのは、なかなか両立しがたい気もするが、ここはなぜか両立。
自然が生み出した天然湖をベースにしつつ、ギトギトの観光化がほどよく廃れて寂寥感を生み出した、そんな配剤のなせる技か。
古い看板には、ボートのほか、鯉・マス養魚場という文字も読める。
月不見の池が養魚場になっていたのか、近くの牛池の方か。

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昭和の味わいが濃厚な看板。ボートも驚きだが、養魚場だった??


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昭和な見晴らし台もそそられるが(左)、よく見ると藤棚テラスだった。店は現役かよく分からない(中)。公衆トイレは現役だった(右)


 

池は太古の巨大地すべりの産物

池の成因は太古の地すべり。大きな池ではないが天然湖沼ということになる。
巨岩が目を引くが、これは巨大地すべりが発生したとき、山津波の先頭を切ってものすごい速度で転がり落ちてきた岩たちのなれの果てだ。
地すべりの池といえば、川や沢に土砂ダムができて生まれる堰き止め湖が多いが、この池はどうも勝手が違う。

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対岸にそびえる巨岩は10mはあろうか。弁財天の島も、転がり落ちてきた巨岩だろう。


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巨岩のあいまに石積みやコンクリート護岸もあった


 

池の水源と、季節による水位変化

流入河川と流出河川が明瞭ではない。湧水が水源という話。
季節によって水位が異なり、雪解けの春がもっとも高水位になる。
現地の案内板によれば、地下水の流末に巨岩に囲まれた窪地が形成されたことで水が溜まった、というような説明だが、どうもよく分からないところもある。
水源だ。
ふつうに考えれば山側に水源があり、川(里)側に吐き出しがあるものだが、細池のページに詳述したように、逆転した構造があるようなのだ。

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池畔の観光廃墟のかたわらには水源らしきものが


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東亭横の流れ込み。山側から来ているようにも見えるのだが


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水量が足りないのだろうか。ホースで別の場所から水を引き込んでもいた


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池名は地酒の銘柄にも

この日は糸魚川の道の駅に投宿。町のコンビニで買った地酒が最高。その名も「月不見の池」。八海山、立山・・山の名を冠した地酒は多けれど、池の名の日本酒銘柄に出会えた幸せは筆舌に尽くしがたい。
酒のラベルに書かれた文字も、現地の石碑の文字によく似せてあってマニアックだ。

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酒のロゴと、現地の池碑銘の文字がよく似ているのも萌えポイント



 

糸魚川観光のオフィシャルサイトの解説

月不見の池
巨岩が池を取り囲み、樹木に絡みついた藤づるに覆われ、池に映る月の姿が容易に見えないことから月不見の池と名づけられたと伝えられ荘厳な雰囲気をかもしだしています。
池の周りの遊歩道は新潟県森林浴100選にも選ばれています。
周辺 には巨岩の間を縫うように歩く強羅めぐりや、四国霊場めぐりを模した、越後八十八ヶ所めぐりがあります。
毎年5月中旬の日曜日に月不見の池を会場として「月不見の池と藤まつり」を行います。内容は、藤の苗木や地元特産品のけんさい飯(味噌の焼きおにぎり)、おぼろ汁、各種山菜などを取り揃えて販売します。
(糸魚川観光協会オフィシャルサイト)


 

案内板と駐車場

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案内板
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月不見の池と親不知

糸魚川といえば海岸の難所、親不知が有名。ネーミングが似ている。

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糸魚川の道の駅にて。夕陽に染まる親不知



 

池さんぽマップ

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池の水源や、三つの池の通水関係は、いずれも成因である大規模な土砂崩れと地下水脈にある。川に向かってなぜ流れ出していないのかなど、地形的な不思議と魅力がある。再調査して報告したい

bunbun.hatenablog.com


 

Google マップ

マークした場所は駐車場。