水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

明神池(香川県豊島)

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海岸から斜面をかけのぼる棚田の上に造られた溜め池。
小さな島の池には、ときどき、はっとさせられるような池がある。そんな池に出会えたときうれしさは、離島の池めぐりの醍醐味にちがいない。
とはいってもどこか「再生」の匂い。護岸がすべてコンクリート化されているだろうか。
池の下には確かに棚田が広がっているが、これは一度は放棄され荒れてしまったという。
稲作の復活へと取り組みがつづくが、単に稲を植えればいいというものではなく、ため池を含む水路の整備、田が水漏れしないよう畦の整備、農作業を行うための道の整備などハード面はもちろん、収穫米の販路の開拓などハードルは高く、短時間で進められるものではない。
まずは荒れ地に戻らぬよう草刈りを行うゾーン、次に水は張れないものの果樹などの耕作を行うゾーン、そして条件の整ったものから稲作というふうにゾーンに分けて再生を進めている。一度、放棄されてしまった水田は、簡単には元にはもどらない。
元気な池がある土地は、米も美味いし、酒も美味い。それは長いあいだ、途切れることなく誰かが手を入れて維持をしてきたという、膨大な時間遺産でもある。


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池の下には観光スポットの棚田と海が広がる


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堰堤



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明神池の向こうに千代田池、さらに向こうにもうひとつ池が見える。



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南側から見た明神池。手前の白い建物は、豊島美術館。


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壇山頂上から。中央が明神池。下の方に水抜きされた千代田池も見える。


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農地と水面は比高が小さい