【たてちぬま】

東北の巨大魚ロマンの山池
垂天池沼は、田沢湖の北西にある大覚野牧場から3kmほど登った標高740mの山肩に立地するブナの森に囲まれた山池。
ウィキペディアにも垂天池沼の項があって、「山崩れのために出来た堰止湖とされる」とあるが、地形的には地すべり頭部の断層湖の典型的な形態を持つように思う。
昔から2mを越す幻の大鯉、1.5mの金色の鯉や1mほどの赤い鯉の目撃譚があり、テレビ局の捜索撮影も入ったとのことで、東北における巨大魚ロマンの池として胸が高鳴る。
ほか確認されている魚類としては、ウグイ、ワカサギ、アブラハヤほか、大正時代から放流されたトラウト類の生き残りがいるかも?
いつか必ずや釣り竿を出してみたい池だが、マタギロードというぐらいでクマの濃厚な生息エリアだけに怖い。
垂天池沼の形態と地形
地形
地すべりによると思われる急崖が池の背後にある。崖線に沿うように細長くのびた池形状から、地すべり頭部の凹地に水がたまったものと思われる。




流れ込み
垂天池沼に明瞭な流れ込みは見あたらず、水源の多くは湧水と思われる。このタイプの池の特徴と一致する。
堰止湖であれば、流入する沢と流出する沢があるはず。

吐き出し
地形図からは、沼の北東側に湿地と谷が認められる。ゆるやかな谷は北東へと進み小湿原を経て定ノ沢へと通じているようである。
下の写真は垂天池沼の北端から吐き出し部にかけて拡大。


垂天池沼の池伝説
ショウゲ婆という老婆が沼に機織り機材を持ち込んで入水したといい、沼底から機織りの音が聞こえるという。
機織(はたおり)の池伝説といえば若い美女が定番だが、気が触れた機織りババアの祟りというのはめずらしい。
大覚野牧場の池群
ベコ沼
地理院地図には牧場内に「ベコ沼」という沼沢が記載されており、池畔まで牧場管理道が通じている。ただ、空撮では池の湛水面は10分の1程度になっているのが常態となっている様子だった。(下写真)
牧場には牛の姿もあったので、彼らの水飲み場だったことが池名の由来になったと想像される。

点在する池にはエビが生息
牧場に点在する池にはエビが生息するとか。以下、オフィシャルサイトより。
標高520メートルの高原にあり、秋田駒ヶ岳、森吉山が手に届くように望まれます。170ヘクタールもの草原には、小エビの生息する大小の池沼などがあり、そのスケールの大きさは北欧の風景のようです。果てしない青空、ゆるやかな緑の丘陵、まさに自然に抱かれる一体感を満喫できます。




アクセス
秋田内陸縦貫鉄道
アクセス路入口近くには秋田内陸縦貫鉄道の上桧木内駅があり、ホームの観光名所案内には「垂天池沼 標高760m 9.0km」と記されている。ちなみに隣の戸沢駅にも同様の案内があり、距離も同じ9.0km。標高760mというのは標高740mの誤りか・・。実測していないので何ともいえないけど。


アクセス路入口
国道からアクセス路入口に「垂天池沼」の道標がある。アクセス路はダート。


大覚野(だいかくの)の案内板
マップの右端に垂天池沼の文字があり、この林道が垂天池沼のルートとして間違っていないようだ。


道が荒れて徒歩に切り替え
軽四駆車ではあったが、ジムニーのような本格四駆ではないのでタイヤがまるごと落ちそうなわだちを前に停止。熊ビッグバンの年。しかもツキノワグマの日本屈指の密地帯。歩くのいやだなあ。

初回アタック撤収
ウリ坊に遭遇。死ぬほどビビった。やっぱクマが怖すぎて空撮による地形調査だけで撤収することに。

マップ
ニッポン湖沼図鑑マップ
機織り婆が休んでいて、うっかり通ると祟られるという池横の峰「立様(たつさま)」に、ショウゲ婆が腰掛けているふうに描いてみた。

