水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

滝神池(富山県八尾)

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ああ、びっくり。野生動物と鉢合わせ。

上の写真には、野生動物がちらりと写っている。見つかったでしょうか。
いざ、この動物と真正面から鉢合わせたときには、心臓が縮みあがる思いだった。

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上下二段の池で、上を新池(上写真)、下が大池(下写真)とされている。

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上下合わせて滝神池と呼び、小さな池ながら地域の農業や生活にとってなくてはならない水源として大切にされてきた。
また、水不足の際は雨乞いの神事も行われたという。
名も知らず通りすがりに寄ってみた池であるが、現地に由来と池名が記された顕彰碑があったおかげで、いろいろ思いを馳せることができた。

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池の上方の「牛滑」(うしすべり)という地名も、戦国期の出来事に由来し味わい深い。
それにしても、大池と新池を隔てる堤に足を踏み入れたとき、黒々とした野生動物と鉢合わせて心臓が縮み上がった。手前に「熊出没注意」の看板があっただけに、なおさら。

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とはいっても山奥というわけではなく、集落のある二車線道路沿いで、池端には民家もある。池と池のあいだの小さな雑木林だっただけに、完全に油断していた。
向こうもかなりびっくりしたようだ。
次の瞬間、大きな水音とともに野生動物が池に飛び込んだ。下の写真では、野生動物の背中が写っている。

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二車線道路が沿う対岸側にまわり、碑文を読んだり、水面をのぞきこんだりしていると、向こう岸を歩く野生動物。こころなしか、足もとがややおぼつかないような。

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ふつうの鹿であれば、奈良でたわむれてきたばかりだったし、全国各地でときどき会うのでそれほど驚かなかったと思うが、色が黒かったので、猪(しし)か熊かと焦った。カモシカだろうか。
類似した事例としては、こんな感じ。
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bunbun.hatenablog.com


対岸を歩く鹿を見て思うのは、このイメージ。
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bunbun.hatenablog.com


また妄想で脱線してしまったが、池は浮き草もあっていい感じ。魚影は確認できなかったが、生命感がないというわけでない。
何より大切にされているのがよく伝わってくる池だった。

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今回、野生動物と鉢合わせしてみて、とっさに体は動かないことが分かった。やっぱり熊とは鉢合わせしたくない。
全身黒い服を着ていたので、カモシカにとっても、こちらが熊に見えたのかもしれない。カモシカの方はとっさに池に飛び込む俊敏さがあったが、こちらはただフリーズ。

ときおりカモシカが白目をむいて斜面を駆け上がってくることがある。そのような時には、必ずその猟場のなかにクマが入っている事実を確認することになった。
(田口洋美『クマ問題を考える』)

クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー (ヤマケイ新書)

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熊が人を襲うとき

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