水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

天沼(神奈川県川崎)

【あまぬま。瓢箪池】

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板スリット入りのオリフィス枡を持ったビオトープ状の池

菅生緑地西地区 水沢の森の中にある池。
水沢の森は緩傾斜の里山の自然を保全した空間になっており、サクラソウ、エゴノキといった草木が保護されている。

Google マップでは「瓢箪池」との記載があるが(2020年現在)、現地の池にあった看板には「天沼」との名と説明が。
しかしよく見ると天沼の横に小さく「仮称」とあるではないか。
説明がなんだかすごい。二章で構成される文章は、説明というより、ほとんどポエム。
引用してみよう。

1、天から水を頂く、緑地西地区の山頂から源流となる清水が湧き、三区分の分水嶺となり、その流れはやがて山肌を下り小川に、天水を導き、平瀬川源流域から川瀬沿いに水を溜め、その沼を形成する。
水の流れ、地形は変わらず沼は新たに清く生を吹き返すことをさらに願う。

これが「2」に進むと、もっとすごい。
「大地、地球の創生、35億年前に、最古の岩石が、先カンブリア時代移り5.7億年藻、菌類の発生するころ、・・」と始まり、古事記、神話に触れつつ、「天の沼矛(ぬまほこ)より、国生み、」と来た!
これが「天沼」の仮称の意味だったわけだ。この「天の沼矛」神話については、淡路島からさらに渡船で渡る離島、その名も「沼島(ぬしま)」が神話を体現した島として現代にその名を伝えている。

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川崎の街中で、天の沼矛の話に出会えるとは思いもよらなかった。熱いロマンと想いが、この小さな池に込められているということはよく伝わった。それにしても、こんなにも抽象的な池の説明看板は初めてである。
ポエジー爆発の宇宙感覚な池としては、新潟県の、ぶなが池を思い出した。「公園は、宇宙の縮小版であり公園の内部世界は外部の宇宙世界の入れ替えとなっている」という、あの池もすごかった。

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上は「天沼」の熱い看板
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ミニ堰体。萌えポイント!
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