【そうげんち。天龍寺】
その池の名には、禅の真髄が。
中学だったか高校だったが、日本史の教科書で懐かしい天龍寺船。南北朝時代、この寺の造営を名目に幕府が中国に送った貿易船というから、そうとうにお金がかかっている。
しかも、嵐山を借景要素として取り込んだ庭園池を作庭したのは、かの夢窓疎石(むそうそせき)。これも教科書の人。
池の名は禅語の「曹源一滴」という文字が刻まれた石碑が池底から出てきたことに由来するという。「曹源」とは7世紀に禅の教えをまとめ、その後、多くの宗派の源流となった慧能(えのう)さんのこと。
「曹源一滴」は禅のすべての流派や教えは、慧能さんの一文字から始まった、というような意味で、こんな禅問答もある。
「曹源の一滴水とは、いかなるものか?」という師からの設問に対し、「曹源の一滴水。その言葉以外の答えはない」と即答した弟子。この弟子がのちに大成し法眼宗の祖となる人物。好きな禅話である。
また明治時代に若干五十歳の若さで管長となった宜牧禅師は修行時代に風呂の残り湯を捨てようとして怒られたことに開眼し、管長就任時に「滴水」と名乗ったというのも偶然ではないだろう。
曹源池という名は、禅の奥義真髄につながっている。
天龍寺は嵐山駅前から参道が始まるが、京都でも屈指の激混みエリアで外国人密度も高い。さらに入場有料の庭園内にある。
国内で初めて特別名勝に指定されたと聞けば、なるほどすごい。また、天龍寺は世界遺産の構成要素。
駐車場有料。
マークした場所は駐車場。