水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

新十津川ダム(北海道新十津川)

しんとつかわだむ。
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おそるべき、どん深のダムである。特に堰体まわりの急深ぶりは、減水期だからこそ分かるが、満水期であれば、ただの農業用ダム湖にしか見えないだろう。
さらなるおそろしさを、ダム内立入禁止の案内看板で知った。
農業用のダムではあるが、ヒグマの多頻地帯である山深い暑寒別岳の水を集めている貯水池は、ある種の温水ため池の役割も兼ねているらしく、満水期となる夏場は表層のあたたまった水を使っているとのことで、湖底と湖面の循環が行われていない。
このため、水深が1m下がるごとに水温が2〜3度下がるという。
オープンウォータースイミングをやったことのある人であれば、その数値の持つ意味を重く捉えることができるだろう。
日本トライアスロン連合の基準では、水温15.9度以下でウェットスーツ着用義務となる。この基準はあくまで義務基準であり、南国生まれの私などは確かに寒さに弱い方とはいえ、たかだか20度でもウェットスーツなしでは体が縮こまって厳しかった経験がある。
どぼんと水に落ちた瞬間にぐわっと体が沈んでしまった場合、いっきに水温が下がってしまうとなると、いくら泳ぎ達者であっても厳しい状況になるかもしれない。つねひごろ水難事故について考えているが、水深1mごとに2〜3度の水温低下があるということを明示されてみて、思いも寄らない危険があるということを思わされたダムだった。

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