せんかんち。栗林公園。
栗林公園内の池のうち六大水局のひとつ。
池というより、ほとんど小川といった風情。国文学を専攻した身として情けないが、この池の名を読めなかったし、意味の片鱗さえ浮かばなかった。
日本でもっとも難解な名をもつ池ではないかなどと思ったが、意味を調べてみればなんことはない、「さらさら池」とでもいった感じで難解とはほど遠い。
【潺湲】せんかん・・水がさらさらと流れるさま。
用例を並べてみると、どれもうっとりするほど雅びである。
1、「たる」をつけて水音を表現。
- 潺湲たる水音に耳を洗われながら
- 潺湲たる水のほか人にもあわず
- 潺湲たる水の辺に立枯れてゐる
- 潺湲たる清流は夕陽を受けて
2、名詞的な使い方。
- 潺湲の音が自由に聴き出され
- 潺湲の響を立てながら
3、「として」を付けて形容動詞的な使い方。
- 潺湲として河原の中を縫うて行く
4、心の動きを水の流れに例えた表現。
- 潺湲と胸に滾れ
- 潺湲として湧き起り
「ワレは潺湲として行くナリ」なんていえば気分もアップ?
さわやかな語感とは裏腹に、なんとも怖ろしい字面である。
さらさら流れるさまであれば、もっとさわやかな字であってしかるべきだが、子を三人も川に流すとは、間引きの因習を思わせる社会の暗黒面。この漢字には何か深い意味が隠されているのではと期待しながら漢和辞典をひらく。
【潺】せん・・水がさらさらと流れるさま。
あれ? 同じですね。
では残る「湲(かん)」の方は。
【湲】かん・・水がさらさらと流れるさま。
がくっ・・。
もしかして、さらさら流れるのは水ではなく、涙?
マークした場所は駐車場入口。