水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

お谷ヶ池(埼玉県加須)

【おにがいけ。才谷ヶ池】
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川の決壊地点が激流に洗堀されてできる押堀(おっぽり)というタイプの天然湖沼が三つ並んでいる。お谷ヶ池は真ん中にある池。外池、才谷ヶ池(さいたにがいけ)という呼び名もある。
水深があり地下水脈に通ずる南の善定寺池、北のオハナ池と違って、この池だけは浅く地下水脈に通じていないのだという。南北の池と違って水温が上がりやすいことからレンコンが栽培されていた時期もあるそうだ。
北のオハナ池には入水自殺したお花さんという女性の伝説、南の善定寺池には人に化けて蕎麦を食べに来たという鯉の伝説があるが、ここお谷ヶ池はご想像のとおり、お谷さんという美しい女性にまつわる悲話が残る。勤務先の上司(代官)にストーカーされた挙げ句にこの池に身を投げたという。
それにしても1km足らずの区間に三つある池のそれぞれが別々の伝説を宿しているというのは全国の他に類例が浮かばない。ちなみにオハナさんも池に入水した女性の名である。
ただ「才谷ヶ池」の由来は分からない。カタカナ表記で「オタニ池」の「オ」が漢字の「才」に読み違えられた可能性もあるのではないかと思ったので、ここでは「お谷ヶ池」とした。
池へのアプローチは北東側の住宅地側から。宅地がどんどん池を包囲している感じだが、善定寺池と同じく加須市が池のまわりを立入禁止にしている。古い釣り台もあるが、荒れた雰囲気。貴重な池だけに公園化してほしいものだ。

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ちょっと荒れた感じ
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マークした場所は善定寺池。