本来なら日本一高所の湖?
湖面標高1,660mの分水嶺に位置する奇跡の山上湖。その水は南に下って太平洋に注ぎ、北に下って日本海に至る。
成因は百名山・燧ヶ岳の火山活動による堰き止め湖。
標高1270mの中禅寺湖(栃木県)をもって「日本一高所にある湖」とする説法が一般的であるが、尾瀬沼こそ日本一では? と、かねてから疑問であった。名前が「沼」というだけで湖ランキングの対象外だとしたら気の毒な話である。
スペック的には周囲長7km、最大水深10mの立派な堰き止め湖なのだから。
そんな天然湖だが、東京電力の水力発電に利水されているという側面ももつ。
人気観光池でマイカー規制に
個人的には四半世紀も昔の話になるが、尾瀬沼への登山口がある沼山峠までオートバイで行き、そこから一時間ほど歩いて尾瀬沼に会いに行った記憶がある。ただ、当時はデータベースという言葉も知らなかったぐらいで、フィルムで撮影した写真もどこかに行ってしまった。
現在は通年マイカー規制のため、9.6km手前の御池駐車場(有料)から先はシャトルバスを使わなければならない。
駐車場代1000円+シャトルバス往復1000円でけっこうな出費だし混雑することもあって、長らく再訪できなかった。2020年にやっとこの有名観光池の掲載が叶った。
尾瀬沼の景観
流れ込み
流れ込みのこの清冽さ!
深田久弥かく語りき
尾瀬沼から燧岳をなくしたら、山中の平凡な一小湖に化してしまうだろう。(『日本百名山』深田久也)
うーん、それ逆でしょう!!
燧ヶ岳から尾瀬沼をなくしたら、深い会津山中に埋もれてしまうだろう、と言いたい。
過去に魚の放流も
燧ヶ岳を借景にした尾瀬沼の絵画的景観はやはり素晴らしかった。
山荘や遊歩道も整備された尾瀬沼および尾瀬湿原の観光化は、一世紀前から登山道などを自力で整備し、魚を放流し、道路建設や取水を食い止めてきた平野長蔵翁ら三代の存在なくして語れない。
山小屋を運営するかたわらニジマス、ヒメマス、ワカサギ、ドジョウ、シジミなどを放流し、その一部は定着。現代の環境意識からすれば尾瀬沼の外来種にあたるため放流はNGだが、半世紀ほど前までは釣り場として人気もあったという。現在は10種ほどの魚類が生息。
国立公園とはいえ法的に釣りが規制されているわけではないが、ひっきりなしに通る登山客、観光客とのトラブルを避けるため、尾瀬沼入釣という夢を叶えるには、まず山小屋に確認をした方がいいだろう。
- 作者:後藤 允
- 発売日: 1984/04/20
- メディア: 新書
アクセス
福島県側の沼山峠、群馬県側の大清水峠のいずれからもアプローチできるが、いずれもマイカー規制でシャトルバスの利用が一般的。
御池駐車場から沼山峠へのシャトルバスは始発4:30(9,10月は5:30)で30分おきに運行。駐車場代1000円+シャトルバス往復1000円。
御池駐車場(御池登山口)
有料駐車場。シャトルバスのバスターミナルが隣接。
沼山峠の登山口
シャトルバス終点に登山口。トイレあり。
登山路
ハイカーが多いだけあって、よく整備されている。尾瀬沼に往復するだけなら軽登山装備でじゅうぶんだろう。
Google マップ
マークした場所は登山口のある沼山峠。