土地の境界争い。じつは水源の争奪戦だった
富山県境のある峠へと立ちのぼっていく久江川。この源流をたどっていくと、峠近くの県道沿いに新池、派生林道をさらに上り、山頂近くの稜線上には湯ノ谷池という溜め池がある。
この二つの溜め池のある峠をめぐって、江戸時代に麓の久江集落と小竹集落が激しい境界争いをくりひろげていた。
奉行所の裁定でも決着が付かず、最後は双方の村の代表が、境界ラインの土を椀に盛って食べ、多く食べた方を勝ちとするという無茶苦茶な勝負をすることで話がついた。
地理的な常識感覚でいうと、久江川の水源なんだから久江集落が権利を有しそうなものだが、隣の谷筋の小竹川をもつ小竹代表が三杯の土を食べ、二杯でぶっ倒れた久江代表に勝利する。
湯の谷池
石川・富山県境をなす標高450mほどの山脈の稜線上にある堤高12mの溜め池。
アプローチ路
湯の谷林道でアプローチできる。途中、分岐があり、左に行くと池のインレット側、右は堰体天端へ。
新池
県道沿いの峠近くにある溜め池。
流出河川は久江川に合流する直前に堰があり、
江黒用水
江戸時代に鉱山の掘り手集団「能登黒鍬組(のとくろくわぐみ)」を雇い、山を四つのトンネルで貫いて隣の谷筋に水を送った1.2kmの多目的用水路。
マークした場所がアプローチ路入口。池は北東へ500m。