水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

毛利池(旧・ニッカ池)(東京都港)

【ニッカ池、ひょうたん池、ヒルズ池】

 

名前の数だけ歴史がある。イワクも多い都心の池

六本木ヒルズ内という都心でも最高峰の立地にありながら、この小さな池は、毛利池、ニッカ池、ひょうたん池、ニッカ池、ヒルズ池とさまざまな名で呼ばれてきた。
現在は「毛利池」という呼び名がほぼ定着しているようだが(10年ほど前は「ヒルズ池」と呼んでいた気がするのだが、この名は何かの陰謀かと思うぐらいすっかり駆逐されてしまった)の由来は、江戸時代に毛利家の下屋敷があったことによるが、当時の庭園池そのものではなく、六本木ヒルズを開発した際にコンクリートで底を打ち直してリニューアルさせた現代スペックの公園池で、森ビルの「モリ」とをかけあわせた「モーリ池」なのである。
ニュー毛利池に改造される前はテレビ朝日の敷地、その前はニッカウヰスキーの工場内の池としてニッカ池と呼ばれた。


 

「テレ朝ニッカ池」が「モーリ池」の下に

戦前戦後にはニッカウヰスキーの社長邸だった時代もあり、社長の命で池を埋めてはいけないと語ったといわれる。ニッカウヰスキーの工場だった時代を経て、テレビ朝日の敷地に。当時、テレビ業界関係者の間では「テレ朝のニッカ池」といえば知らぬ者もいないぐらい、あることで有名だった。
ヒルズ池は現在の六本木ヒルズ造成の際に、池の水源だった湧き水を抜き、コンクリートで底を打ち直して造られた現在の池の名称。つまり毛利池のコンクリート底の下にニッカ池がある。なお、宮城県の宮城峡にあるニッカウヰスキー工場にも同名のニッカ池がある。


 

モーリ池の下のニッカ池の下に、オリジナルの池はあるのか?

毛利屋敷だった江戸時代には、「忠臣蔵」の赤穂浪士のうち10名がこのあたりの池のほとりで切腹し、首を池の水で洗ったという。
現在の姿からは想像もできないが、何かといわくつきの話の多い池であることは事実。


 

宇宙メダカが泳ぐ?

元宇宙飛行士の毛利衛さんら宇宙メダカ研究会によって、スペースシャトルの無重力空間で生まれたメダカの子孫1万尾もの「宇宙メダカ」が2003年に放流されて話題となった。ん? ここでも毛利さん?
ともかく宇宙で生まれたメダカがどんな進化(?)を遂げているか分からないため、既存の生態系との交雑はNG。
コンクリートで囲まれたニュー毛利池であれば、周辺環境との通水がない閉鎖水域だったので、放流が可能になったというエピソードも。


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