池ヌシが「猫」というのは日本唯一?
池ヌシといえば大蛇(龍)が一番人気、次になぜか牛。そういえば妖怪の牛鬼も水中生活者だ。
しかし化け猫騒動は聞けど池のヌシが猫というのは、ちょっと聞いたことがない。
そもそも猫池という名からしてめずらしい。猫好きの人間の数から考えれば、あまりに不当な扱いではないか。それもしかたない。池と猫、どう考えても親和性が高いようには思えない。
猫池という名をもつ池は、水辺遍路が把握している限り、全国にたった三つ。
そんなめずらしい山池が標高1040mの小谷山の頂上近くにあると知って、いても立ってもいられなくなった。
いったい、どんな池なのだろう。
猫池には、魚がいない?
この池伝説の話にもどれば、もともとは人に飼われていた猫が家出して池のヌシになったとか。
猫が池のヌシでは魚もオチオチ眠れない。実際、池には魚がいないという話である。いや、そもそも本当に猫が魚が好きなのか、サザエさんがそういう世界観を創造したのではないかという疑問もないでもないが、水面をにらむこと10分。確認できた魚影はなかった。確かに誰かが放流でもしない限り、流出河川がない池に魚が上がってこれるはずもない。
水中ドローンを持っていれば、真っ先に出撃先にしたい池である。池水中撮影はこれまで何度もチャレンジしつつも、なかなか良好な結果が得られなかった分野だが、最近、やっと実用に耐えそうな水中ドローンが出てきた。
水面で目立った動きといえば、大きなトンボ。がっつりお尻を水中に入れてタマゴを産んでいたから、ヤゴはいるのだろう。少なくとも。
イモリのほか、フナも生息しているという情報もあるので、池ヌシの猫はもう引退したのかもしれない。
冬は深い雪に閉ざされるが、雪解けが近づくと猫の足跡が雪の上に現れるという不思議な言い伝えもある。
池の成因と地形
ウィキペディアによれば、湧水説と火口説があるが、湧水説が有力とのこと。
地形のダイナミックさは圧巻。
空撮してみて分かることだが、池の片側は谷に向かってストンと落ちている。
ほぼ稜線上に位置し、明瞭な流入河川はない。
湖周長300mを確保するほどの豊かな水がどこから集まってきているのか不思議だし、そもそも水がたまるようなくぼ地が山頂に生まれたというのも不思議な話である。存在そのものが神秘というしかない。
岸近くに5つほどの浮島
岸近くにライトグリーンが鮮やかなものが見える。
最初、何かと思ったが、ミズゴケ主体の浮島。正直、見たことがない。
南砺市指定の名勝・天然記念物に
市指定の天然記念物としてアプローチ路入口に標柱が立ち、駐車スペースはあるが、池への人工物の設置などは行われていないように見えた。
登録名は「猫池とその周辺」。
「その周辺」には電波塔以外目立ったものはないが、針葉樹と紅葉樹が混ざった複合林で紅葉もメリハリがあって美しい。
アクセス
アクセス路は猫池林道という4kmの全線舗装林道で、泣きが入るほどの酷道ではなく、池の近くにはじゅうぶんな駐車スペースもあり、これだけの立地のわりにはアクセスしやすいといえるだろう。
猫池ファミリー
全国に三つの猫池を確認している。
ここ富山の猫池は山池(天然湖)だが、神奈川県鎌倉の猫池は町池(調整池)、兵庫県加古川の猫池は里池(溜め池)と、すべてタイプが異なる。
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Google マップ
マークした場所に駐車スペース。