「保全調整池」という調整池界の新トレンド?
都知事が設置者というステンパイプにビス留めされた金属の標識板。そこに刻まれたこの池の名は「町田もみじ台団地B保全調整池」。
指定番号「鶴保H-19第12号」、いかにも正当なる調整池といった感じで高貴ささえ感じてしまう。
保全調整池。いってみれば在野に生まれ、王に抜擢された三銃士のダルタニアン。金属の銘板はナイトの勲章なのだ。
町田市のオフィシャルページにはこう記されている。
防災調整池の役割と市内の保全調整池一覧(東京都町田市)
山林や農地等が宅地や商業施設等に開発されると、雨水が地中に浸透しにくくなり、下流の排水施設や河川への流出量が増加します。
防災調整池は、雨水の河川への流出量を一時的に貯留することを目的に設置される施設のことをいいます。(京浜河川事務所ホームページより)
都知事は、雨水を一時的に貯留する機能が河川流域における浸水被害の防止を図るために有用と認めるときは、防災調整池を『保全調整池』として指定できることになっています。
特定都市河川の流域内で、開発などによりつくられた防災調整池のうち、民間で所有管理されている貯留量が100立方メートル以上のものが指定の対象となっており、2006年3月の19池の指定以降、順次、東京都が指定を行っています。
(町田市オフィシャルサイトより。太字は著者が施した)
民間所有の防災調整池を、行政長の認可のもとに「保全調整池」として公的施設として格上げするもので、東京都、愛知県をはじめ都市部で拡大しつつある調整池の新トレンド(?)といえようか。
構造は「築堤式」。つまりダム。
標識看板の「容量及び構造の概要」の項に、気になる文字が。
「築堤式」
オープン式調整池には、掘り込み型、プール型が圧倒的に多いだけに、ダム型となると心騒ぐ。
さっそく堰体側にまわってみよう。