重畳たる山なみ。どこか仙郷を思わせる面立ちの池。フェンスや規制看板もなく、小さな石のいしぶみだけが、いつも池を見守ってきた。
ぱっと見では分からないが、じつは堤高24mもあるアースダムによって堰かれた谷は深く、水が抜けたときの姿は満水時の穏やかな表情とは想像できない凄みがある。
堰体の天端を道路が通り、下流側からも上流側からもアクセス性は悪くない。左岸側に取水用の四連スピンドル斜樋があり、洪水吐は右岸側。
洪水吐横に小島のような草地があり、古い石碑がたたずんでいる。文字は消えかけてよく読めない。
これほどの規模ではなかったにせよ、昔からあった溜め池だったのだろう。堤体やコンクリート製洪水吐など改修工事の際に、石碑もここに移されたか。池愛を感じる。
改修に携わったのは、岡山に本社を置き、マンションからダムまで全国で手がけるアイザワ工業。
同名の最新ダムが三重県伊賀に建設中で、その工事現場の見学会が月一回程度開催されている。要予約。
ほか、山口県においてメジャーバスポンドの菊川湖を堰いているのも同名のダムである。