町チカに、地元の人も知らない秘湖ロマン?
この池との出会いは、とある北海道の陶芸家のブログからだった。
このブログ主は三笠に移住した方で、陶芸の良い材料を求めて山中を歩いていたところ、地元の人も知らない五つの池を見つけたという。炭鉱跡地で廃墟となった町の名をとって自ら「月光池」と命名した・・そんな記事を読んで心躍った。
国内で最後に発見された秘湖は実在
しかし航空写真が世界中をくまなく網羅監視しているこの時代に、そんなことがあるのだろうか? しかも炭鉱跡の町近くという立地。池の成因は人工のボタ山による堰き止めと思われ、つまり人工池という可能性だってある。どうも秘湖感からはほど遠い。
確かに北海道には日本で最後に見つかったというシュンクシタカラ湖という秘湖がある。(今では林道が通じてしまったので真の秘湖ではなくなってしまったけど。ただし林道崩落で2021年現在は到達困難)
2021年、Googleマップに池名が!
そんなロマンから興味を持って注視していたところ、このブログ主が命名したという「月光池」という池名が2021年のGoogleマップに記載されたので驚いた。
と同時に個人が趣味で付けた名がオフィシャルな地図に採用された事例として、やや危惧の念を持った。というのも私自身、「仮称」と明示して自分のブログに掲載したはずの池名がGoogleマップに採用されてしまって焦ったことがあった。それが正式名称のような誤解を生んで拡散してしまうと、本来の名称など正しい情報が埋没してしまうかもしれないと心配したのである。
アイヌ語の池名まで?
Googleマップには「月光池」に対して「チュプットー」などアイヌ語と思われる名が四つも記載されていた。月光池の名付け親は、太郎湖、次郎湖、三郎湖と命名したと言っているので、アイヌ語の名はどこから来たのか。あるいはこれがオリジナル?
となると、炭鉱のボタ山によって生まれた堰き止め湖ではなく、大昔からあった天然湖に鉱滓を捨ててボタ山になったのが正解?
謎が深まるが、アイヌ語名の語意にヒントはないだろうか。
チュプットー・・「チュプ」はアイヌ語の月、あるいは月光。トーは沼。つまり月光沼・・うーん、そのままだった。
ハレプロットー・・「ハレプロ」の意味は不明。「レプ」は「沖」だが関係なさそう。
ユアットー・・ユアも意味がちょっと分からない。ユ=湯?
モンチットー・・「モチュプトー」の誤記ならば、小さい月光沼ということか。
2022年のマップでは記載が消える
不明点が多かったため、現地取材後もなかなか記事を出せずに1年以上がたってしまった。その間、Googleマップからは月光池と四つのアイヌ語の池名が削除されてしまった・・。
池の立地と形態
ボタ山を取り囲むように四つから五つの池がある。各池は畝状の丘によって堰かれており、その一番低まった場所に通水部が穿たれている。増水時は上の池から順番に下に水が下っている可能性が高い。
一番下の四番目の池(写真では見えにくい)の下は沢になり、幌内町(二)のあたりで幌内川に流れ込む。




周辺観光とアクセス
鉄道公園が隣接している。奥まで進むと選炭場跡がある。
選炭場跡
ロープが張られ、奥には進むなという感じになっている。



鉄道公園
炭鉱を支えた幌内線の廃線跡が、三笠鉄道村という公園として開放されている。













Googleマップ
マークした場所は鉄道村の無料駐車場。