水辺遍路

実踏・日本の湖沼 9,000湖

蜘蛛ヶ池(静岡県裾野)

【くもがいけ。蜘ヶ池、公文名堤】
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池ヌシは蜘蛛! 何ともいえぬ空気感の池

名もさることながら、いざ池の前に立ってみても、いわくありげな雰囲気が濃厚である。正式名は公文名堤(くもんみょうつつみ)。
「くもが池」の名は正式名の「くもんみょう」が転じたものかと思ったが、Google マップでは「蜘ヶ池」、裾野市オフィシャルサイトおよび現地の案内標識では「蜘蛛ヶ池」の字があてられている。
この池のヌシの「蜘蛛」が釣り人を引きずりこんで溺死させた伝説も残されていることから、不吉な「蜘蛛」の名を忌み嫌って「公文名」の字を後からあてた可能性もある。
さて、池を見ていこう。

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良好な水辺環境

いかめしい取水塔のある右岸側は木々がオーバーハングしてせり出しているが、堤から左岸側にかけては草地が広がり歩きやすい。
奥まで歩いていくと、祠があった。減水しているわけではなく、これが常態のようだが、水草が全体的に池を呑み込んでしまいそうに浅かった。
しかし公称値では最深部は6m
一見、浅そうに見せて油断させるのも池ヌシの蜘蛛の策略か。侮れない・・。
インレット側はヨシ原になっており、貯水能力の衰えをのぞけば環境良好な溜め池だった。

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釣りは命がけ?

水遊びはしないで、という看板はあるが、釣り禁止を明示した掲示は見あたらなかった。もっとも釣り人が殺された伝説がある池だけに命がけ?
ブラックバスの魚影を確認。訪れた際も三人の若者がバスロッドを振っていたが、魚の方は悠然としたもので慣れきっている感じ。
ランカーサイズもいたが、何とアクビをしている。
オカッパリはしやすく雰囲気も悪くないが、釣果を得るのはかなり難易度が高そうだ。

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フェンスに入口が

親切にもフェンスに入口がついていて開放されていた。
フェンスは有刺鉄線付きのタフなタイプでゴミ捨て禁止などの看板が少々ものものしい。
ゲートが開いているのはゲストや釣り人のためというより、水神様にお参りする地元の人のためのような感じがした。
ただ、案内坂もあることから、排他的な感じでもなかった。

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取水塔がカッコいい

裾野市にある農業用貯水池や調整池の取水塔は、どれも古城のようなたたずまいでカッコいい。同じ人による設計だろうか。
堤の右岸側に取水設備への入口があり、転落防止フェンス付きの橋で望楼に渡れるようになっていた。

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裾野市オフィシャルサイトによる解説

以下、裾野市のオフィシャルサイトより抜粋。

公文名堤は、箱根山からの自然流水や湧水を水源とする灌漑用の貯水池。築造は江戸時代中期と考えられ、当初は上・中・下の3つの堰に区切られていたが、明治時代と昭和23年に改修され現在に至っている。面積は33アール、最深部は6メートルに達する。池は森林に囲まれ、神秘的な雰囲気がある。この池は別名「くもが池」と呼ばれ、後述の伝説がある。

【伝説】箱根山の谷を堰き止めて作った「つつみ」と呼ばれる用水池で、いつのころか釣り好きな男が、この池で釣りをしていると、履いていた下駄が引かれるように池の中に落ち池の真ん中まで流れさった。驚いてよく見ると、池の中に無数のくもがいて、細い糸を投げかけて下駄を奪ったものとわかった。そして、この男もくもの糸にかかって池の中に引き込まれて死んだという。この男は、生来乱暴で殺生を繰り返していたため、池の主であるくもに殺されたものといわれ、以来誰言うことなく、この池を「くもが池」と呼ぶようになったと伝えられている。
(引用:東地区の文化財めぐり)

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「蜘蛛」に関連する全国の池

池の主の蜘蛛が糸を操って池の中に引き込む伝説としては、四国・愛媛県の山池である神鳴池に類話がある。
また、同名の池(蜘ヶ池)は新潟県上越に、類名(クモ池)は和歌山県海南にもある。
bunbun.hatenablog.com
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アクセス

アクセス路は舗装されているが道がかなり狭くなっているところもあり分かりにくい。
公文名簡易水道の案内坂があれば正解。150mほどで右に曲がる。
堤の上に出ると転回スペースはあるが、数台の駐車車両でスペースが埋まっている場合、狭い道をバックで戻らなければならないので、慣れないビジターはオートバイか自転車の方が安心。

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堤を上がる道。左のフェンスは池。舗装されている。


 

Google マップ

マークした場所はアプローチ路入口。