水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

久保谷新湖(奈良県十津川)

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まさに秘境。すさまじい地形である。
249名の死者を出した明治時代(1889年)の十津川大水害では、急峻な山体の深層崩壊によって、じつに53もの天然ダムができた。うち31湖は地名を付して「〜新湖」と名付けられている。
多くの土砂ダムはその後、決壊して二次災害を引き起こす元凶となった。よって現存している池は少ないだろう。地図で確認できたものとして、ここ重里永井の池を訪ねてみた。
完全に同定できているわけではないが、池のある場所から久保谷新湖ではないかと思う。
狭隘な舗装路のどん詰まりに一、二軒の民家があり、工事で通行止めとなっていた。現場監督に話を訊いてみると、ときどき釣りに来る人もいるそうだ。また、この池は決壊して被害をもたらしたことから、現在も防災治山工事が行われているとのこと。

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堰き止め部から見た久保谷新湖。
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天然の土砂ダムではポータブルサイフォンによる排水が行われることも多いが、ここは簡易型ながらフロート型の取水設備のようにも見える。


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堰き止め部は土嚢が積まれている


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堰き止め部のいちばん高いところ。遠くに見える湖面は天端から15m以上低い位置にあるように思える。もはやハイダムスペック・・。大水害時はここを水が乗り越えていくのかと思うと、自然の力の猛威を感じずにはいられない。
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池の下にある重里の集落には、災害を伝える案内板が立っている
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