かのんだちょすいち。
メジロの里「壱岐やぶ椿の森」として地図に載っているものの、なぜか池としては地図に記されていない。
この池を堰くのは立派な重力式コンクリートダムではあるが、その堤高は14.1m、ハイダムスペックには、わずか90センチ足りない。それでも離島・壱岐島の上水道水源池としてがんばっている池である。
地図に出ていないし、これといった情報もなかった。ところが現地に立ってみると、なんともいい。湖頭にある立ち枯れの一本杉が不思議な絵画的水辺空間をつくっている。無名ながら、さぞかしの名木だったのだろうと思わずにはいられないみごとな立ち姿。
独立孤高、周囲に類するものもなく、天を指して凜と直立する姿と、こじんまりとしつつも、たおやかな湖面。なぜだか背筋がのびる。
これを絶景というのかは人の判断だが、意図せず出会ったところに、それはあるのかもしれない。絶景と喧伝される池で、順路のように人の肩のあいだから垣間見て、よかったと思ったことは一度もない。
2019年時点ではGoogleマップに貯水池の記載はない。航空写真に切り替えると池が確認できます。