水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

鏡池(三重県紀北)

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海がすぐ近くにある低湿地に位置することや、明瞭な堤構造が確認できないことから、海跡湖など天然由来の形成史をもつ池ではないかと思う。
水辺を取り囲むようにヨシが繁茂し、海の匂いを含んだ風が葉を揺らすたびに、合唱のようにざわわと音がする。
おのずと漂う太古の風格は、高知県の蟹ヶ池を彷彿させる。海近くの海跡湖の湖底には過去の大津波によってもたらされた地層が眠っていることが多い。この池もまた南海トラフ地震のヒントが隠されているかもしれない。
空から見ると山を背に海に向かって池の下には集落と漁港がある。ため池であれば集落側に堤があるはずだが、水面とほぼ同じ高さの舗装路があるだけである。豪雨地帯だけに池が氾濫すれば集落に水が流れていくはずだが、よく見ると池と道路のあいだにコンクリートの溝が切られており、あふれた水をここで止める構造になっているようだ。池の横の山が集落に向かって崩落した痕跡も確認できる。
池名の由来はすぐ近くにある鏡神社であろうか。池が先なのか、神社が先か、それとも同時期に名付けられたのか。
池端まで舗装路がついておりアクセス性は良好。

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池と道路のあいだに設けられたコンクリート製の溝。

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