水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

イルカ池(長崎県壱岐)

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1980年前後に、この離島から世界を揺るがした壱岐イルカ事件
壱岐島北部の勝本の漁民が、ブリの漁獲に大打撃を与えたイルカの大群来襲に対して懸命の駆除作戦を開始。
イルカ追い込み漁で有名な和歌山県太地への研修で得た追い込みの技術も当初はなかなか功を奏せず、試行錯誤をくり返す苦労の多い仕事だったが、やがて大量駆除に成功する。
入り江の地形を利用するイルカ追い込み漁は、血抜きの際に海が真っ赤に染まる。
血の海。惨状を比喩的に伝える言葉だと思っていた。一枚の写真に釘付けになった。見えるかぎりの海がどろどろの血潮に塗り込められている。戦争の上陸作戦などで血の海と書いてあっても、血で赤く染まった海、ぐらいに思っていた。血の海は、ほんとうに血の海なのだと初めて知った。
当時、このスクープ写真が雑誌で世界に放たれるや、激しい日本バッシングと環境団体からの攻撃にさらされる。
しかしやがてイルカはぱったりと島に来なくなる。ほっとしたいところだったが、なぜかブリも獲れなくなった。
今、この静かな港町を見ていると、昭和時代に起こった事件がどこか別の世界の話のような気がする。砂浜とキャンプ場もある静かな勝本園地近く、深くたたみ込まれた入り江には壱岐イルカパークというリゾート施設があり、イルカの泳ぐ「イルカ池」と呼ばれる区画が設けられている。
読みが同じ愛知県の入鹿池は、日本史上最悪の死者数を出した決壊事件のあった溜め池でもある。

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壱岐島北部のすごい地形。地層がぐにゃりと褶曲!


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勝本園地はキャンプ場隣接。駐車場の前にビーチがあり、カヤック出艇ポイントとして申し分ない
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