【けんのいけ。剣の池】
さまざまな曰くつきの無人島にあって、壱岐の支配者だったカザハヤ王の宝を沈めたといわれる池伝説とともに長く謎に包まれたケンの池だが、2008年ごろに地元の人がネットで写真を公開してから、その情報をなぞるような形で池を訪れる人もぽつぽつ現れたことで、写真などをもとに位置を特定できた。
岩のくぼみに据えられた赤い鳥居がなければ、海岸岩棚に穿たれた普通の潮だまりにしか見えなかったかもしれない。ただ、池のまわりの地形は異様である。断崖とビーチにはさまれているといっても、言葉だけで状況を想像するのは難しい。
この池には空撮を試みただけで、実際には会っていない。掲載するか迷ったが、このまま会いたくない気もするので、とりあえずラフ鳥瞰図とともに記事化することにした。
外国人の霊と祟り、人の言葉を喋る牛、池の中に欲しい物が現れるが取りに行くと引き込まれる、といった池にまつわる話は一つの情報元から拡散したものと思われる。
底が海とつながっていて、引き込まれた者が海側に揚がるという話は地形的にありえるだろう。地元の漁師も近づかないという話が本当ならば、海流が複雑で危険なのかもしれない。
勝本園地の駐車場前のビーチからカヤックで出艇すれば、たった2kmほどで辰の島なので、自力上陸したいところだが、離島だけに流されればどんなことになるか想像できない。
そういえば1980年代の壱岐イルカ事件においてゴムボートで辰ノ島に上陸した外国人活動家が強風で戻れなくなって一夜を明かした末、救助された事実もある。近い島だからといって侮れない。クルーズ船を利用した方が賢明そうだ。
ケンの池のある辰の島への渡船は壱岐の勝本港からクルーズと上陸のセット料金で2,000円ほど。